「選ぶ楽しみ」を与えられる飲食店、そのメリット

何かの商品やサービスを購入しようとするとき、「自分自身の意見が反映できること」は大きな喜びとなります。大きいものでは注文住宅、小さいものでは文房具のチョイスなどです。これはもちろん、飲食店においても同様です。

ここでは、「選ぶ楽しみ」について見ていきましょう。

プリフィクススタイルについて

飲食店を経営している人の多くは、一度は「プリフィクススタイル」という単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これは「prix fixe」というフランス語であり、「プリフィックススタイル」とも表記されます。

「いくつか用意された選択肢のなかから、好きなものを選びとるスタイル」という意味で使われています。

たとえば、Aコースは、サラダ・魚・肉・デザートのコースですが、魚は「真鯛のポワレ」「サーモンのバター焼き」「ほたてとエビのアヒージョ」から、肉は「鴨肉のロースト」「牛肉の赤ワインソース」「羊肉のテリーヌ」から、デザートは「チョコレートムース」「チーズケーキ」「プリン」から任意のものを選べる…というような形です。

プリフィクススタイルは、お客様の好きなものを選んでいただけるため、強い満足感を抱かせることが可能です。また、好き嫌いにも対応しやすいやり方であるため、メリットは大きいと言えるでしょう。

プリフィクススタイルの難しさ

しかしプリフィクススタイルは、同時にデメリットもあります。それは、「価格の調整が難しい」ということです。

「牛肉を選ぶとプラス200円」「デザートの盛り合わせはプラス500円」というスタイルをとっているお店も珍しくはありませんが、基本的にはどの料理を選んでも同じ値段です。

そのため、どのメニューをお客様が選んでも、お店側に損がないような料理構成にしなければなりません。あまりにも値段に差がありすぎてしまうと、それだけに注文が集中してしまうと採算性があわなくなってしまうからです。

ただしプリフィクススタイルは、ある程度計算をして組み立てることで、お客様1人当たりの単価をアップさせることも可能です。特に、ある程度味に自信があるフランス料理屋などに向いていると言われています。

料理だけじゃない!こんなところにも「選ぶ楽しみ」が

プリフィクススタイルは「料理を選ぶ楽しみ」をお客様に味わっていただくスタイルですが、それ以外にも「選ぶ楽しみ」はさまざまな形で提供することができます。

私が実際に足を運んだコーヒーショップでは、ホットコーヒーを頼んだ場合、自分好みのカップを選ばせてくれる、というシステムをとっていました。コーヒーショップなどのように雰囲気を楽しむことも一つの価値であるお店ならば、このようなスタイルはとても向いています。

普段は自分では買えないような少しお高めのコーヒーカップに、バリスタがいれた上等なコーヒーをそそいでもらって、恋人や友人、あるいは一人で午後の一時を楽しむ…。このような楽しみ方は多くの人にとって、好意的に受け取られることでしょう。

このときに選んでいただくコーヒーカップは、必ずしも高級なものでなければならない、というわけではありません。しかし安っぽいコーヒーカップは、すぐにそれとわかってしまいます。また、安価なコーヒーカップならば、わざわざお客様がお店で選ぶ必要もありません。自分で買って日常使いにすればいいからです。そのため、最低でも「素敵だとは思うけれども、自分で買うには少し勇気がいる」という値段のコーヒーカップを集めるようにしましょう。

選ばせるやり方であるのなら、コーヒーカップはさまざまな種類を用意しておくことが望ましいと言えます。そのお客様の好みによってコーヒーカップを選び分けてもらう必要があるからです。

ただ、あまりにも雑多すぎるピンナップにしてしまうと、店舗の落ち着きやまとまりがなくなってしまう可能性があります。特に、「バーカウンターの後ろにコーヒーカップがあって、誰の目からでも見えるようになっている」という場合は、少し意識をしてみるといいかもしれません。

もう一つ紹介したいのが、「デザートなどをワゴンサ-ビスで出す」というもの。上では「プリフィクススタイルのコースの一つとして、デザートを選ぶ」方法をお教えしました。

しかしデザートならば、ワゴンでお客様のお席にまで伺い、お好みのものをチョイスしていただく、という方法をとるのもよいでしょう。この方法の場合、お客様は直接デザートの外見を見て選ぶことができますし、食欲も増すはずです。

ワゴンサービスでデザートを供する場合は、デザートをのせているプレートが汚れすぎていないか注意してください。デザート(特にケーキ)は柔らかいため、ほかのお客様のところで取り分けるときに、プレートにべったりとクリームなどが残ることもあります。ある程度は仕方がないとはいえ、ひどくなりすぎたようならば所定の手続きを踏んで掃除をしてから次のお客様のところへ行きましょう。

このように、飲食店には「選ぶ楽しみ」がたくさんあります。お店の考えはそれぞれですが、一度検討してみてはいかがでしょうか。