飲食店に花を飾る魅力と注意点~NGな花の飾り方と花の利用方法

食空間を美しく彩り豪華にしてくれる「花」は、飲食店を営む人にとって欠かすことのできないものです。
しかし同時に、花は、使い方を間違えると料理の邪魔をしてしまうものでもあります。

フードコーディネーターとフードアナリストの資格を持つ私が、飲食店における花の正しい使い方をお教えします。

花は飲食店を華やかにする

入口に活けられた花やテーブルに飾られた花は、食空間を美しく彩ります。
テーブルの上に置くものとしてとてもメジャーなものであり、センターピースとして活躍してくれます。

花はその種類によって表情をまったく変えます。季節感を演出することもできるため、季節ごとにメニューを変えるお店などでは特に役立つでしょう。

「花」というと、「薔薇」をイメージする人も多いのではないでしょうか。たしかに薔薇は、食空間を演出する花として非常にメジャーであり、よく使われます。豪華な雰囲気を出すことにも長けているため、フレンチのディナーなどの場合は特に相性がよいと言えます。

しかし、上記でも述べたように、花には「季節感を出せる」というメリットもあります。
そのため、薔薇一辺倒ではなく、それ以外の季節の花を取り入れることもおすすめできます。
4月にはチューリップ、5月にはアヤメ、薔薇の季節である6月であってもアジサイやツユグサといったものが挙げられます。

NG!花を飾るときに気を付けたいこと~「大きさ」

ただ、花は、ただ単に「飾ればよい」というものではありません。便利なアイテムではありますが、飾り方によっては料理の味わいを大きく損ねる「敵」になってしまいます。

まず、大きさについて考えましょう。

花に限らず、テーブルに置かれるセンターピース(飾り物)の大きさは、テーブル全体の9分の1以下に抑えるようにします。これ以上大きいと、食事の邪魔をしてしまいます。

私たちがテレビでよく見る、レセプションのときなどに使われる長机の場合はある程度豪華な花を飾っても問題はありません。
しかし2人掛けのテーブルの場合は要注意です。

2人掛けのテーブルの場合、その大きさは、90センチ×90センチ程度が目安です。そのため、花を飾る場合は10センチ四方におさまるものにしなければなりません。
この数字は「花本体」だけでなく、「花器もあわせた大きさ」であることも忘れてはいけません。

2人掛けのテーブルの場合は、一輪挿しを基本とした方がスマートです。

また、「高さ」にも配慮します。2人掛け以上のテーブルの場合は、真向かいにお客様同士が座ることが多いでしょう。
このとき中央に置かれた花が邪魔になってお互いの顔が見えなくなる、というような状況は避けなければなりません。そのため、センターピースの高さは45センチまでと定められています。

NG!花を飾るときに気を付けたいこと~「花の種類」

もう1つ考えたいのが、「花の特性」です。

私たちは花屋で花を選ぶとき、豪華で、香りが高く、美しいものを選ぼうとします。
しかし料理店で飾られる花と、自宅に活ける花とでは選び方が異なります。

上でもお話したように豪華で花が大きすぎるものは、しばしば席を圧迫します。
もっと気を付けてほしいのが「香り」です。

香りが高すぎるものは、料理の香りを大きく邪魔してしまいます。料理の香りがわからなくなるだけならまだしも、料理を花の香りで埋め尽くしてしまうことすらあります。

「花の香りのなかで楽しむティータイム」「花の美しさを愛でるレストラン」をコンセプトとしているのならばよいのですが、そうでない場合は香りが強すぎるものは避けます。
薔薇では、クリムゾングローリーに代表されるような強香種のものです。また、「朝は香りが強くなかったので、活けてしまってもいいだろう」と考えるのは間違い。花器に活けられている間に、強い香りを放ち始めることもあります。

また、花粉や花、葉が落ちやすいものも選択肢から外しましょう。

造花とプリザーブドフラワー

造花は生花に比べて一枚劣る印象を抱かれがちですが、飲食店で使うのならばメリットもあります。
まず、香りの問題が出ないこと。それに加えて扱いやすいことや長持ちすることもメリットとして挙げられます。価格面でも安くつきますし、現在は生花と見間違うような美しい高品質なものも出てきています。

ただ、造花は一部の人にとってはウケが悪いのも事実です。そのため、造花を取り入れるのなら、
・上質なものを
・季節によって使い分け
・汚れたらすぐに取り換える
といった方法を使うのが望ましいでしょう。

もう一つお勧めしたいのが、「プリザーブドフラワー」という選択肢。
これは美しいうえに元は生花、加えて基本的には香りがないということで、非常に飲食店向きの選択肢だと言えます。
初期投資は高くつきますが、生花に比べてランニングコストは安くなるので、これを使ってもよいでしょう。光による退色にはご注意を。

花は飲食店にとって、時には味方になり、時には敵となるもの。うまく付き合っていきたいですね。