「もう少し多く入れて」「○○を増やして」飲食店でよく言われる要望にどう答える?

飲食店を営業していると、そう少なくはない回数で、「もう少し○○を多めにいれてほしい」「この具材が好きだから、この具材を増やして入れてほしい」という要望を受けることがあります。それについてはどう答えていけばいいのでしょうか。

ケースバイケース、受け付けられるケースとはどんなもの?

「○○を増やしてほしい」という要望は、お店側からすれば、けっしてありがたいものではありません。その分だけ利用しなければいけない食材が増えますし、「1つのオーダーについて、エビの個数は3個程度。それよりも多く入れると新しいオーダーが入った時に不足する」ということもあるでしょう。そのため、原則としては断るべきです。

ただ、例外的なケースもあります。

まず1つめは、「そもそも割増料金が存在するもの」です。カレー屋やラーメン屋では、割増料金として、大盛ならばプラス100円、としているところなども多いと思われます。このようなシステムの場合、「追加で100円かかりますが、大盛にできます」などのようにご案内するとよいでしょう。

また、この「ご案内」をすることで、「いや、追加料金を払わずに大盛にしてほしいんだ」という要望をシャットアウトすることもできます。「ほかのお客様にも追加料金をいただいているので」と断ることができます。

2つめのケースは、「個数は2~3個程度」となっているケースです。これは後で詳しくお話しますが、「食材(たとえばホタテ)が小さい場合は3個、大きい場合は2個」としているところなどもあるでしょう。そのようなシステムの場合は3個入れることができます。

最後の1つは、「そもそも原価が非常に安いものであり、ある程度店員の裁量に任されている」というものです。
たとえば、「ソースを少し多めに入れてほしい」「味噌汁の乾燥ワカメを少し多くしてほしい」「ネギトロ丼のわさびやネギを多めにしてほしい」というケースです。このような場合、原価が非常に安く、また要望自体もそれほど頻出しないため、店員の裁量によってある程度増やすことができる、としてもよいでしょう。

断り方にもポイントがある

上記では、「基本的には、『○○を増やして』という要望は断る」としました。しかしこの「断り方」によっては大きなクレームにつながったり、店員がひどい罵声を浴びせられたりすることもあります。そこでここでは、「断り方のポイント」について紹介していきます。

まず、断り方で悪手となってしまうのは、「増やせません」と言い切ってしまうこと。これは確かに正しいことなのですが、非常に言葉がきつく聞こえるので、お客様によっては反感を覚えることもあります。また、「マニュアルで決められているので……」という説明もNGです。接客業である以上、無用なトラブルを避けるためにも、柔らかい言い回しや、しつこくならない程度の説明を心がけましょう。

1.「数が決められていて、他のお客様の分がなくなってしまいますので……」と言う

基本の断り方はこれでしょう。お客様に対して何かをお断りするとき、「お店の事情」「お店の利益」を前面に出してしまうと、もめる可能性が一気に跳ね上がります。

しかし、「他のお客様」「今要望を出している人と対等の相手」に迷惑がかかる、と説明すれば、基本的にはそれ以上ごねられることはあまりありません。「少しくらいいいだろう!」と言われることもありますが、その場合は、「申し訳ございません、ほかのお客様からのご要望もすべてお断りしておりますので……」と続けるとよいでしょう。

2.「では少しだけ増やしておきますね」と言う

ちょっと上級者向けのテクニックですが、シチュエーションによっては意外と使えるのがこの言い方です。上では、「食材が小さいならば3個、食材が大きいときは2個いれる」というメニューについて紹介しました。このようなケースの場合、この言い回しが非常に効果的です。

つまり、小さい食材をわざと選んで、「通常は2つなのですが、少し小さめのものを選ばせていただいて、3個入れさせていただきました」とご案内するのです。「少し多く入れてほしい」と要望するお客様の多くは、食材の細かい大きさまでは見ていません。そのため、「個数が増えた」ということで喜んでくださることが大半です。

嘘をついているわけではありませんし、マニュアル通りの対応でもあるうえに、お客様も「お店側が融通をきかせてくれた」と思うため、クレームやトラブルに発展する可能性が極めて少なくなります。私は長く飲食業に従事していましたが、このやり方をとったときは、もめることはただの一度もありませんでした。

「○○を増やして」という要望は、飲食店にとってはなかなか難しい問題です。
ただ、
・ほかのお客様との不公平感が出ないように
・店の利益を守りつつ
・要望を出したお客様にも満足がいただける
という説明や対応を心がけたいものです。