飲食店での「常連さんの顔を覚えての声かけ」と「常連さん優先」の注意点

「常連さん」「リピーター」というのは、お店にとって非常に重要なものです。お店の運営を考えるさまざまな書籍やホームページにおいて、「常連さんへの対応をおろそかにしてもよい」と書いてあるようなものはないのではないでしょうか。

飲食店にとって、質のよい常連さんをつかむことは、文字通り生命線となり得ます。
しかしこの「常連さんの扱い」は、非常に難しいのも事実です。

常連さんへの声かけは是か非か?

「あの人また今日も来てくれた、うれしいな」――――
このような感覚をいだくのは、スタッフや飲食店側にとってごく当たり前の話です。また、さまざまなハウツー本のなかには、「私はあなたを覚えている」ということを積極的にアピールしていこう、としている本もあります。

実際、「店員が自分のことを覚えていてくれて、声を掛けてくれたこと」を好意的に受け止めるお客さまは多いものです。自分に対してしっかり目配り・心配りをしてくれているということでもありますし、安心感もあります。また、ほかのお客さまに対してちょっとした優越感を覚える、という人もいるでしょう。さらに、自分の好みをわかってくれていることから、料理や飲み物を選ぶときの手助けをしてもらえると期待する人もいます。

ただ、この「積極的な声掛け」は時にマイナスの評価を生むこともあります。
実際にあった例ですが、
「『常連さん』という扱いをされてしまうと、店員に対しても、まるで友人や同僚に対するような気づかいをしなければならなくなるから息苦しい」
「会話をしたくない気分のときが多いし、こちらに注意を向けてほしくもないのに声を掛けられるのは苦痛」
「ビジネスライクに処理をしてもらいたいのに、いつも注文されているものなどを覚えられているのは気分が悪い」という意見を持つ人は決して少なくはありません。極端な例ではありますが、「いつもありがとうございます、くらいなら気にはしないが、それ以上のことを踏み込まれたら、もう次の日から絶対そのお店には行かない」という人もいました。

このような、「声を掛けられることによって行きたくなくなってしまう層」がいるということは頭に置いておかなければなりません。

「常連さん優先」になっていない?

もう1つ考えてほしいのが、常連さんを大切にするあまり、常連さん優先になっていないか、ということです。

「しらべぇ」が1500人を対象としてとったアンケートでは、3人~4人に1人が、常連さんの振る舞いに嫌な思いをした、と答えています。

たとえば、
「普段はメニューに載せていないが、常連さんが注文したときだけその特別メニューをつくる」
「常連さんだけツケがきく」
「常連さんが大きな声で歓談していても、まったく注意をしない」
「常連さんとスタッフが話し込んでいて、なかなか注文にこない」
「常連さんが我が物顔で振る舞い、ひどい場合は店に来たお客さまに絡む」
「うんちくを披露したがり、ほかのお客さまの注文にケチをつけたり、笑ったりする」
「独自のマナーやルールを押し付けてくる」
このようなケースを目にすることは、そう珍しいものではありません。

常連さんが問題のある行動をとることも非常に厄介なものですが、お店側が「常連さんだから」という理由でそれを咎めないでいると、新しいお客さまはとても不愉快な思いをします。同じお金を払って飲食店に来ているのに、なぜ待遇に差があるのかと疑問に思うこともあるでしょう。そして、このように、常連さんに不愉快な思いをさせられた人は、二度とお店にきてくれません。また、クチコミなどでマイナスの評価を書かれることもあります。こうなると、新しいお客さまの獲得すら難しくなります。

「それでも常連さんがいれば店舗の運営はうまくいく」と思う人もいるかもしれません。
しかし常連さんはあくまで「お客さまのうちの1人」にしかすぎません。その人が気まぐれを起こして何日もきてくれなくなるなどの可能性は十分に考えられます。

常連さんとの付き合い方

常連さんの存在は飲食店にとって非常に重要です。しかしだからこそ、付き合い方を考えていかなければなりません。

「相手が声を掛けてもらいたがっている人かどうか」ということは、プロの接客スタッフであってもなかなか見抜くのが難しいかもしれません。内心で「嫌だな」と思っている人であっても、そう表に出すことはしないという人もいるからです。
ただ、ちょっとしたお声かけをしたときの表情の変化や会話の接ぎ穂などを注意して見て、相手の求める接客をできるかぎり読んでいくようにしましょう。

また、「常連さん優先」は程度問題だと考えるべきです。常連さんがほかのお客さまに迷惑をかけるような振る舞いをしていたのならば毅然と注意すべきですし、できないことはできないと告げましょう。特に、お酒を出すお店の場合、「常連さんだから・・」と、車を運転してきた人にお酒を出すことは絶対にやめましょう。