飲食店の厨房のスタイルを考える~調理形態はどんなもの?

「飲食店をやろうと思っている」とだけ考えている場合、決めなければいけないことはたくさんあります。「厨房のスタイル」もそのうちの一つです。

お客側としてだけお店に行っている場合、私たちは基本的には厨房の形態についてはあまり注意を払いません。しかし、提供側となった場合は、厨房のスタイルをきちんと考えていく必要があります。それを、フードコーディネーターの視点から見ていきましょう。

調理システムをまずは理解する

厨房のあり方を考えるときには、まずは「調理システム」について理解しなければなりません。

調理システムは、大きく分けて、「真空調理システム」「アッセンブルシステム」「クックサーブ・システム」「クックフリーズ・システム」「クックチル・システム」に大別されます。

真空調理システムというのは、ホテルなどでよくとられている形式です。

これは、生の食材と調味料を同じ袋に入れて、真空状態にしてパッキングします。それを加熱し、さらに急速冷凍を行うことで、保存できるようにします。

この方法を使うと、通常の冷凍保存よりも長期間の保存が可能です。また、柔らかさが保たれたり、素材の味が逃げにくかったりという魅力があります。真空調理自体は、「味をしみこませること」を目的として使われる料理方法でもあるので、味を損ねにくいのがうれしい保存方法です。

「アッセンブルシステム」は、少し特殊な方法です。

これは、料理を店で行うことはせず、外注します。外からとりよせた調理済みの食品を加熱して盛り付けるだけの簡単な提供形態です。この方法の場合、厨房の面積が小さくて済むというメリットがあります。スペースが限られている都心部などでは有用性が高い方法であり、おすすめです。また、「料理する技術」も求められません。しかし、外注をするシステムであるため、どうしてもコストは高くなります。

冷凍か、それとも調理か

「クックサーブ・システム」は、私たちが「飲食店」と聞いたときにイメージする形態だと言えます。

お客様にオーダーをとり、それに応じた料理を作って提供していきます。この方法の場合「できたて」をお客様に提供することができるため、味を損ねにくいというメリットがあります。「味」を重要視するお店を営みたいのであれば、この方式がよいでしょう。

ただ、1つのオーダーを受けるたびに一つ一つ作り上げていく方式であるため、時間はかかります。また、お客様のオーダーが読み切れない場合、傷みやすい食材をどう処理するかの問題が出てきます。

名前通り、食品を「フリーズ」させて作り上げるのが、「クックフリーズ・システム」です。

加熱調理した食品を手早く冷凍し、冷凍状態で保存します。かつては「冷凍したら味が落ちる」と言われていましたが、現在は解凍技術や冷凍技術が発達しており、これらをうまく使うことで、「おいしい冷凍食品」を提供することが可能になりました。

冷凍しているため、保存期間が長く、無駄が出にくいのもメリットです。ただ、食品によっては冷凍に適さないものもあるので注意が必要です。

クックチル・システムも、一度冷却するのは同じです。ただし、クックチル・システムの場合は、「冷却」であって「冷凍」ではありません。また、提供前に再加熱をします。

この方法の場合、クックフリーズ・システムに比べて鮮度が保ちやすいというメリットがあります。また、ある程度は保存も聞くため、食材の計画も練りやすいと言えます。「どこで、何を、どんな風に使うか」ということを把握しているのなら、このシステムは利用しやすいものだと考えられます。

費用、食材運用、味、それらを総合的に見て判断する

このように、調理形態は実にさまざまです。調理形態は、厨房自体の計画を大きく左右します。

「手早く出せること」「経験のない人でも運営できる店舗」「場所があまりとれない場所での料理提供」ということが大前提としてあるのなら、従来型のクックサーブ・システムよりもアッセンブルシステムの方が相性がよいと言えます。コストと手間のバランスを考えたいということであるならば、クックフリーズ・システムなどの導入を考えるべきでしょう。

料理店を営もうと考えるとき、私たちは、ついつい「どんな料理を出すか」「どんな値段に設定するか」「どんな店内インテリアがよいか」に目がいってしまいがちです。

しかし、まず初めに調理形態を考えておかなければ、料理の種類も値段もインテリアも決めることはできません。これはお店を運営するうえでの基本とも言えるものですが、「飲食店をやること」を第一の目的としている人は、まずはここから考えていくことが必要です。

特に、「料理店と言えば、お客様の注文を受けて、料理人がその場で作るもの」という固定観念がある人などは、一度そのやり方や方法を見直してみるとよいかもしれません。