「マイナス評価のクチコミ」飲食店はどんな対処ができるか?

インターネットが普及した今、「クチコミ」はお店のイメージや売り上げを大きく左右する非常に重要な要素になっています。たとえば大手のグルメクチコミサイトで検索して、上位陣にあるお店だけを狙い撃ちで訪問する、という人もいます。また、ここまで顕著な例ではなかったとしても、「マイナス評価のクチコミが多いところは避けている」というような人は非常に多いと言えます。

このため、「マイナス評価のクチコミ」を寄せられることは、お店にとって非常に大きなリスクとなり得ます。
このような「マイナス評価のクチコミ」に対して、飲食店側が何かできることはあるのでしょうか?

マイナス評価のクチコミが怖い理由

上でも軽く触れましたが、マイナス評価のクチコミが怖い理由に対してここでも詳しくお話していきましょう。

世のなかには、無数といってよいほどの飲食店があります。私たちがどこかのお店を選ぶとき、その判断基準を必要とすることがあるのはこのためです。
そこで味方になるのが、「クチコミ」です。

クチコミは、実際にそこでサービス(飲食店の場合は料理の提供)を受けた人が寄せることを原則としており、自由に発言できる場です。お店のホームページとは違い、「お店側にとって都合のよいこと」だけが書かれるわけではないので、選ぶ側にとっては非常に参考になるわけです。また、良い評価が書かれている場合は新しい顧客の獲得にもつながります。

しかしここで困るのが、「マイナス評価のクチコミ」です。

特にクチコミの件数が少ない小さい飲食店の場合、一人が悪い評価をつけると非常に困ったことになります。たとえば★5つが最高ランクの評価のグルメクチコミサイトにおいて、2人が4、1人が5、1人が1とつけていた場合、そのお店の総合評価は2.8程度になってしまうわけです。「★が3つを切るところは選ばない」という層も多いでしょうから、この段階でこの飲食店は考慮対象外となってしまうのです。
クチコミの数が少ない飲食店ほど、マイナス評価のクチコミに振り回されてしまうことになります。

クチコミは自由なもの、それを法律で規制することは無理だと考えるべき

クチコミの評価というのは、常に一方的なものです。たとえば、「料理がなかなか出てこなかった、そして料理もおいしくなかった。店員の態度が悪い」と書いたとしましょう。
これに対して、飲食店側が、「そんなことはない。料理の提供時間は自店で定めるマニュアルの規定内に収まるものだったし、料理については主観が入る。店員の態度が悪かったとも思えない」と反論しようとしたとします。

しかし、このような「反論」は非常に難しいと言えるでしょう。クチコミサイトのなかには「店側からの返信」ができるものもありますが、それでも、その真偽は見ている人間にはわからないわけです。感情的に店側が反論してしまうと、逆に見ている人間に「うわ、このお店めんどくさそう」「指摘されたのに逆ギレしている……」と思われてしまうことも。

また、判例としても厳しいものが出ています。
2016年の6月に、「実際とは異なることをクチコミとして書かれた」として飲食店が訴訟を起こしました。このときは、「書かれたことを削除すること」を願い出たものですが、これは結局却下されました。
その理由はかなり難しい言葉で書かれているのですが、簡単に言えば、「飲食店側が、自分に都合の悪いことを載せないようにさせることはおかしい。人が意見を言う権利や、それを見た人が手に入れることになる情報が、飲食店側の勝手で規制されるのはおかしい」というものでした。

同じように、大手の回転ずしチェーンでも「無添加」をめぐる提訴がありました。「このカキコミをした人間の情報を開示せよ」という訴えをしたものですが、これもその請求が退けられています。

もちろん、飲食店側としても、「実際にこちら側に非があったのなら仕方ない。しかしそうではないことを書かれても困る、言われっぱなしではないか」と反論したくなるでしょう。
しかし、「実際にあったこと」と「実際にはなかったこと」を判断するのは非常に難しいと言えます。そのため、原則として、「マイナス評価のクチコミは制限できない」ということになるのです。

名誉毀損にあたるかどうかが判断の分かれ目

ただし、マイナス評価のクチコミでも、その表現によっては名誉毀損として訴えることはできます。

たとえば、実際にはそんなことはないのに、「このお店は食中毒で何人も病院送りにしている。そのうちの1人は死亡した」などのクチコミです。
このように書く場合、少なくともそこには、「これが事実である、もしくは事実であると信じるに足る相当の理由があること」が求められます。そうでない限りは、名誉毀損ということで、店側も戦うことができるわけです。また、上でも述べた「おいしくない」などの書き方も、あまりにも常識を逸したような表現であるのなら、対抗することができると思われます。

マイナス評価のクチコミへの対策は、飲食店側としてはなかなか苦慮するところです。
しかし明らかに名誉毀損にあたるクチコミではない限りは、反省材料として生かしていくべきでしょう。