飲食店のメニューブックの見やすさと視線の動きについて

「メニューブック」は、飲食店においてもっとも大切なアイテムのうちの一つです。メニューブックは、料理の名前や値段、外見など、多くのことをお客様に語り掛けていきます。「お店に入るかどうか」を決めるのは、店の外見であったり立地であったりクチコミであったり営業時間であったりサンプルであったりしますが、お客様が「よし、ここの店で食べていこう」と思うためには、メニューブックがなければいけません。
このように考えると、メニューブックは、飲食店における、非常に雄弁な「営業手段」と言えるでしょう。

ただし、気をつけてほしいことがあります。

それは、メニューブックは、「ただそこにあればよい」というものではない、といった事実です。

「視線の動き」を意識することは非常に重要

私たちは普段、何かを読んだり見たりするとき、特別「視線の動き」を意識することはありません。日本で生まれ育った人とならば、子どもの頃はともかく、大人になれば、「横書きの文章は向かって左から、縦書きの文章は向かって右から読む」という習慣が身についているはずです。昔こそ、「横書きであっても右側から読む」というやり方がとられていましたが、現在ではこれは完全に時代遅れです。

このような、「文字を読むときの読み方」は、実はメニューブックにも適用されます。私たちは普段、特に意識することもなく、メニューブックを「読みやすいところ」から読んでいるのです。

この「視線の動き」を意識することで、メニューブックは非常に見やすく、かつ魅力的になります。

基本の目の動きを知ろう

2つ折りで、かつ横書きのメニューブックがあったとき、私たちの視点は、向かって左側の一番上の隅にまず動きます。
その後でその視線を下におろし、向かって左側の下部を見ることになります。
その次に目をやるのが、向かって右側の一番上です。そしてその視線は、右側の一番下へと移行していきます。このかたちの場合、メニューブックの真ん中あたりに目をやるのは、最後の「右側の一番下」までを見終わった後だと言われています。視線が、左側の一番上へと戻っていく過程のなかで目につく、と考えられているのです。

この考え方を知っておけば、「一番売り出したい商品を、メニューブックのどこにレイアウトするのか」という問いかけへの答えが出てきます。

一番売り出したい商品は、左側の一番上に置くべきです。2つ折りで横書きのメニューブックの場合は、ここが真っ先に目に入るからです。少々大き目の文字と扱いで、主力メニューを載せましょう。また、このときには、必ず写真を載せたいものです。

また、左側の一番上は、しばしば「メニューのカテゴリー」を紹介する役目も似合います。
「定食」「ステーキ」と銘打たれた下部にメニューを載せることになることも多いと言えますから、よけいに意識して、「映りのよい写真」を使うべきです。

3つ折りの場合はどうなるのか~視線の動きには変化がみられる

上では、基本の「2つ折り、横書き」の視線の動きを説明しましたが、3つ折りの場合はどうなのでしょうか。
実はこの場合、2つ折りのときとはまったく異なる視線の動きをすることになります。

まず、一番初めに目にすることになるのは、メニューブックのちょうど真ん中あたりです。2つ折りのときは最後に見られていたここが、まず真っ先に目に飛び込んできます。そのあとは向かって右側の上部に視線が移動し、スライドするようにして左側の上部に視線を移します。それはそのまま降りて左側の下部に行きます。
真ん中を通って、ようやく視線は右側の下部に落ちます。多くの人はもう一度真ん中に目をやり、その後でメニューブックを閉じることでしょう。

このような場合、自慢の一品を載せるところは、「中央」となります。キャッチャーなフレーズとボリューム感のある写真を使い、簡単な説明とともに載せるとよいでしょう。特にこのやり方は、「キノコづくし、秋のキャンペーン」「春のストロベリーフェア!」などのように、期間限定のキャンペーンのときにも有用です。

「作り手側」となったとき、私たちはついつい、「メニューブックのすべてをよんでから注文してくれるだろう」と思ってしまいがちです。しかしお客様は、まず一番に「読みやすいところ」を読み、その後でパラパラとページをめくります。迷った時には「見やすかったところ」「印象に残ったメニュー」を注文する、という人も多くいます。このような人に対して有用にアプローチするために、メニューブックは、「視線の動き」を意識して作るようにしてください。

ちなみにこのメニューブックのなかに、「季節限定フェア」「ランチタイムの案内」などを挟み込むのも使える手段です。なにより「挟み込む」場合は、もともとのメニューブックを廃棄する必要もないので、経費的にも安心です。