飲食店のメニューブックのあり方について

飲食店において、もっとも重要なアイテム。それのうちの一つが「メニューブック」です。今回はこの「メニューブック」について、実体験を交えて取り上げましょう。

諸外国のメニューブック、日本のメニューブック

私は仕事で年に3~5回ほど海外に渡航していますが、そのときに現地でレストランに入ったときに気づいたことがあります。

それは、「諸外国のメニューブックには、写真がほとんど使われていない」ということです。

店によっても違いはありますし、あくまで私自身の体験ではありますが、メニューブックに写真が使われていた例は全体でも1~2割程度だったのではないでしょうか。特にヨーロッパ方面では、メニューブックに写真を載せるということはほとんどありません。英語もそれほど自信がないうえに、現地語は壊滅的なくらいわからない私としては、毎回メニュー選びに四苦八苦しているのが現状です。

このような「写真のないメニューブック」を見ると、日本のメニューブックがとても特徴的であることがわかります。もちろん日本のメニューブックにも写真を載せていないところや、「代表的な料理にだけ写真を載せる」というところもありますが、ファミリーレストランをはじめとして、ほとんどのメニューブックには何かしらの写真が載せられています。

これは、「日本語がわからない」という外国人だけでなく、当たり前のように日本語を使いこなす私たち日本人にとっても、非常にありがたいことです。名前だけではイメージできにくい料理や、どんなものかよくわからないもの、初めてのメニューであってもどんなものかがわかりやすく、怖がらずに注文ができるからです。

「わかりやすさ」「どんな料理なのかを伝えられること」は、メニューブックに求められるもっとも大きな要素のうちの一つです。その点を、「写真つきのメニューブック」はきちんと網羅できていると言えるでしょう。

そのため、原則としては、メニューブックには写真を載せるべきです。特に、ランチメニューが1000円以下のところなどは、一見して「どんなものか」がわかりやすい写真を使うべきでしょう。

「写真を載せないこと」にもメリットがある

ただ、写真を載せない飲食店もあります。
これには大きく分けて2つの理由があります。

・個人の飲食店であり、写真がうまく撮れない
・高級店である

前者の場合は、料理を作る手間、そしてそれを写真撮影する技術が必要です。以前の記事でも触れましたが、写真というのは、「どのように撮るか」によってその「おいしそうさ加減」が大きく変わってきます。料理の盛り付けがあまりうまくなく、かつ写真を撮る技術もないというのであれば、写真を載せることがマイナス要因になってしまうこともあります。基本的には、写真撮影はプロに頼むべきだと思われます。一時的な出費は大きくなりますが、回収するのは決して難しくはありません。

「雰囲気」を重要視する高級店の場合も、あまり写真は用いません。私が好きな「高級店(ランチタイムの客単価が大体10000円~のところ)」は文字のみでメニューブックを構成する傾向にあります。このようなところの場合、女性側、あるいは接客される側に対しては、価格の書かれていないメニューブックを提示するなどの工夫も見られます。

また、「お客」として行った時のことを考えると、「雰囲気を推しだすから料理の写真は載せない」という理由だけでなく、「料理の驚きを損ねない」という理由もあるように思えます。

基本的には、高級店と言われるお店では、食材の良さや味の美味さは当然のことながら、カトラリーや食器、盛り付けにもそのお店ならではの工夫が凝らされています。まずは目で見て驚き、食べて驚くという構成になっているのです。盛り付け自体も「驚き要素」の一つですから、それを「メニューブックに載せた写真」で損ねるのはあまりうまいやり方ではありません。このため、高級店の場合はメニューブックに写真を載せないというのも、一つの戦略となりうるのです。

ただこの場合、「どんなものが入っているのか」「どのような料理なのか」を尋ねられた際は、ホール担当者が完璧に答えられる、というのが必須条件です。もちろん盛り付けの詳細を述べる必要はありませが、どんな料理かはきちんと説明できるようにしておいてください。

「メニューブックに写真を載せるかどうか」というのは、そのお店の売り上げ自体を大きく左右するものです。また、お店の雰囲気にあったメニューブックを作らなければ、入ってきたお客様に違和感を抱かせてしまうこともあります。メニューブックは、お客様が必ず手にとるものだからこそ、それできちんとアピールしなければなりません。

・基本的にはメニューブックには写真を載せる
・その写真は、プロに頼むのが望ましい
・高級店の場合は必ずしも写真は必要とはしない
ということを頭において、メニューブックを作っていきましょう。