深夜営業の飲食店の防犯について

「深夜営業の店に強盗が入った」などのニュースは、よく目にするのではないでしょうか。
深夜営業を行っている飲食店においては他人事ではない、この話について見ていきましょう。

深夜営業のそもそもの問題点

お店に押し入ってくる強盗のおよそ8割が、コンビニエンスストアを対象としています。そしてそのなかの約64パーセントが、0時~4時の深夜帯に集中しています。もちろんこれはあくまでコンビニエンスストアのデータですから、飲食店とそのままイコールにすることはできないでしょう。ただ、深夜帯ということで、お客様が少なくて人目につきにくいこと、店員の数がそれほど多くないことなどが理由であると考えれば、飲食店にも同様のことが言えるのではないでしょうか。

一時、「ワンオペ」などが問題になったこともありました。深夜帯はあまりお客様が来ないこと、深夜帯の時給が高いことなどから、飲食店では深夜帯の従業員の数を制限しているところもあります。このようなことから、強盗が非常に入りやすい状況になっているのです。

また、このような防犯上の問題は、必ずしも強盗に限るわけではありません。店員への恫喝やセクハラ発言も、深夜営業のお店の場合はよく見られます。あるファミリーレストランの深夜勤務をしていた店員などは、「昼と夜ではあきらかに客層が違う。昼間は本当の意味で『ファミリーレストラン』だが、深夜勤の場合は夜中まで外で遊んでいたという人が集まってくる。もちろんいいお客様もたくさんいるが、ガラのよくないお客様が多いのも事実」と語っています。

深夜営業、防犯をきちんとしていないと店側が賠償を負う必要が生じることも

深夜営業の防犯を考えることは、店員の安全を守るためだけでなく、店を守るためにも必要です。

店側には、「従業員の生命や安全を守る義務」があります。これは労働契約法5条に定められているものであり、防犯を考え、配慮することは「義務」なのです。そのため、昔あった事例では、「危険があると考えられる状況においても、店側が本来しなければならない防犯対策も安全に対する教育もしなかった。そのため、強盗に入られて、従業員が命を落とした。これは店側にも責任があり、義務に違反している」として、賠償金の支払いを命じたということもあります。

「深夜帯だけど、従業員を1人しか置いていない」「警備会社ともまったく契約していない」「そもそも従業員に対して、安全上の教育もしていない」という店の経営者は、まずはここから見直さなければなりません。深夜営業の店の防犯対策を考えることは、「任意」ではなく「義務」です。怠れば、何かあったときに、倫理的なところからだけでなく、経済的な面からも制裁を受けるのです。

深夜営業の防犯を考える

深夜営業の防犯は、きちんとしておけばおくほどよいものです。
ただ、どこから考えればよいかわからない、という人もいるでしょう。
そのような人には、山口県が出している資料が役立ちます。

この資料のなかでは、
1.店全体を見渡しやすくして、不審者を発見しやすくする
2.レジのところには防犯カメラなどを設置する。カウンターのなかには、逃げ込めるスペースを作っておく
3.金庫は性能の高いものを
4.トイレには防犯ブザーをつけておく
5.事務所の窓にはシャッターなどを付ける
6.駐車場には強い照明を
7.警報ベルやインターフォンを設置する
などを勧めています。

また、かなり有用なのが「警備会社との契約」です。深夜帯の従業員には、「これを押したら警備会社に連絡が行く」というような通報装置を持たせておきましょう。実際に通報装置を押してから駆け付けるまでの間にはタイムラグが生じますが、何もないのとでは雲泥の差があります。また、きちんと使い方もレクチャーしておきましょう。これらは飲食店の経営者(責任者)の責任として行うべきことです。「呼ばれたらお金がかかる」として嫌がる経営者がいるのも事実ですが、命には代えられません。

危険を感じたら警察を呼ぶように、として教育をしておくことも大切です。多くのトラブルは警察を呼ぶことで収束します。責任者としては「すぐに呼べ」とは言い難いかもしれませんが、安全を守るためにはとても重要です。

人件費の問題などはたしかにありますが、実際に強盗などがあったときの金銭的被害や人的被害は実に膨大です。このようなことを事前に防ぐことが何よりも大切です。

また、強盗は突然襲ってくるものなのでなかなか完全に防衛することは難しいのですが、「お店のなかで起こるトラブル(セクハラや度を越した要望)」は、「客層を作り上げていくこと」である程度は避けることができるようになります。未成年者や運転手の飲酒を断り、騒がしいお客を従業員が注意していく……このような行動は非常に地味ですが、1年ほども続ければ、「口うるさい店だから行かないでおこう」と敬遠されるようになり、きちんとしたお客様で構成されるようになります。