ワインを扱う飲食店の経営者必見!ソムリエを雇う意味について

かつては「高級品」というイメージが強かったワインですが、現在は比較的気軽に楽しめるようになりました。安くて品質の良い第三世界ワインの流通も、これに大きな影響を与えています。

そんななかで、ワインを自分のお店に入れようと考える人も多いのではないでしょうか。今回はそんな人に、「ワインの資格」の意味について、私自身の体験談を交えてお話していきます。

「自分もワインに詳しいのでソムリエはいらない」、この考えって大丈夫?

「自分は毎週のようにワインを飲んでいる。だからワインに詳しいので、ソムリエを雇う必要はない」
「ある程度自分でワインの見極めができる。ソムリエを雇うとなると予算的にちょっと厳しいので…」
と考える人もいるのではないでしょうか。

これは必ずしも間違った考え方ではありません。実際に、ソムリエ資格を持っている人よりも詳しい人もいるでしょうし、すべてのソムリエが優秀なわけでもないでしょう。また、予算の問題もあります。

「ワインをメインにしているわけではない」「リーズナブルなワインのなかから気軽に楽しんでもらいたい」「そもそも、価格帯が安いお店を経営するつもりでいる」というケースでは、ソムリエは「必需品」ではないでしょう。

しかしフランス料理などを主に取り扱い、価格帯もそれなりに高いお店を経営したいということであれば、やはりソムリエの雇用を考えた方がよいと思われます。

その理由を、実体験を交えてお話していきます。

おおまかな知識と細かい見極めはまったく別物

少し私の話をさせてください。

私は相当なワイン好きであり、ワインと相性が良いと言われているチーズの資格を持っています。どこかに旅行に行けば、その土地その土地のワインを飲むことも楽しみにしています。ワインにまつわる仕事も数多くこなし、ライターとして数多くのワインの記事を書いてきました。飲んできたワインのエチケットを集め、それぞれの特徴や合う料理も記入しています。

ただ、そのような人間であったとしても、ソムリエと同じようにワインを見極めることが可能か?と聞かれれば、答えは「NO」です。

たとえば、「セミヨンは甘くて柔らかい」「シャルドネは、生産者によって表情が変わる」「カベルネ・ソーヴィニヨンはもっとも広く愛されている赤ワインのブドウ」といった基本的なことはわかります。そのため、ブドウの品種が書かれていれば、ある程度味の推測はできます。

しかし、「同じブドウを使っているけれども、生産地と生産年が違うワイン」を2本持ってこられて、「どちらのワインが、目の前にある白身魚のクリームソース掛けに合いますか?」と聞かれたとき、私はそれを答えることはできません。

ソムリエの資格を持っている人は、これを正しく判断します。

たとえば、「ゴルゴンゾーラ・ピカンテとあわせられるワインを探している。メインの肉料理は羊肉を香辛料とボルドーソースで仕上げたものだ」と言ったとしましょう。

このときソムリエは、単純に「カベルネ・ソーヴィニヨンが合う」という回答ではなく、「、「○○地方のカベルネ・ソーヴィニヨンははより濃厚で、▼▼地帯のカベルネ・ソーヴィニヨンはそれほどでもない。だから、肉料理にあわせるなら○○地方のものが最適だ」というアドバイスができるわけです。

これは実際に私自身が体験したことです。日常使いのワイン程度ならば私も自分で選びますが、やはり特別な日の場合は信頼のおけるソムリエに選んでほしいと思います。

このような差は非常に大きいと言えます。特に、「ワインをメインとする飲食店」「飲み物のメインがワインであり、価格帯もそれなりに高い」というところの場合は重要です。そのようなところに足を運ばれるお客様というのは、相応の知識を持っていることも多いため、付け焼刃の知識では失望されてしまうことすらあり得ます。

なぜこんな違いが生まれるのか?

では、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。

それは、資格取得に一定の条件があるからです。

日本で「ソムリエ」というと、一般的には、一般社団法人日本ソムリエ協会が主宰しているソムリエ資格を指します。

ここでは、
・2年以上の会員歴があり、かつ2年以上の実務経験(実務時間も問われる)
・3年以上の実技経験があり、現在もその仕事に従事している
のいずれかでなければ、ソムリエ資格に挑戦することができない、としています。

この「実務経験」の壁はかなり大きいと言えます。「コンサルト業務や販売業務も実務経験に含める」としていますが、一定期間その職に従事していたかどうかは大きな違いとなって表れてきます。日常的に仕事で扱うことと、趣味で楽しむことはやはり違うからです。

ただ、「ソムリエ」と一言に言っても、その資質や能力には大きな違いがあるのも事実です。そのため私も、「せっかく選んでくれたけれども、この人のおすすめするものと私が求めるものは違うな」と思ったことも多くあります。
そのため、「このソムリエさんの選んでくれるワインならば、絶対にはずれがない」と言い切れる人のお店にここ5年ほどずっと通っています。

ソムリエを雇うとき、そのソムリエの持つ資質や能力を見極めることも、経営者には求められるでしょう。