飲食店のスタッフは何人くらいが必要か?

「飲食店における稼働スタッフの数」は、しばしば問題になるところです。
今回はこれについて見ていきましょう。

人件費を考えてスタッフの人数を割り出す

スタッフの数を考えるときにまず大切になるのが、「人件費についての考え方」です。当たり前のことですが、客単価よりも人件費の方が高ければ、お店はもうかるどころか、逆にマイナスになってしまうからです。もちろん、時間帯によっては客単価よりも人件費の方が高くなってしまうことはありますが、「営業時間全体」で見たときにバランスがとれるようにならなければなりません。

そしてこれを考えるときに重要なのが、「スタッフが1人あたりが1時間で売り上げる金額」です。
これを求めるための算出方法は、「1日の売り上げ」と「労働時間」を割ることです。

たとえば、1日の売り上げが100万円で、スタッフの稼働時間が100時間のところがあったとしましょう。
この場合、「スタッフ1人あたりが1時間で売り上げる金額」は、
100万円÷100時間=10000円となります。

仮にこのお店の時給が2000円だとするのであれば、人件費が占める割合は、
2000円÷10000円=0.2となります。人件費は全体の約20パーセントであり、これは一つの理想的な数字だと言えます。なぜなら、人件費は全体の30パーセント以下にすることが望ましいと言われているからです。

このように、「人件費」の立場から、必要な人数を割り出す考え方は絶対に必要になります。

「その人数でお客様の満足度が確保できるのか」という視点も大切

しかし、このように「人件費」という観点からだけ考えていると、「顧客満足度」という考え方がおろそかになってしまいます。

だれでも飲食店で、「料理がなかなか出てこない」「店員がいつまでも捕まらない」「テーブルから読んでいるのに、反応がない」という経験をしたことがあるのではないでしょうか。これは、スタッフの教育が行き届いていないという場合を除けば、基本的には、「人手の足りなさ」によるものだと思われます。

人件費を考えすぎるあまり、「忙しさ」とつりあいの取れない人数の配置しかしていないお店に起こりがちなことです。大手の牛丼店などが、いわゆる「ワンオペ」で問題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
客単価を低く設定している割に、調理場やホールスタッフに負担が大きい店づくりをしている場合は、このような不満や問題が頻出します。そしてこれは非常に大きな問題となってのしかかってきます。

このようなトラブルを起こした飲食店に対しては、お客様は、非常に強い不信感をいだくでしょう。「二度とあのお店にはいかない」「時間がないなかで行ったのに、定食なのに1時間も待たされた」「オーダー制の食べ放題のお店だったのに、何度呼んでも店員が来ない。結果的に食べられたのはわずか数皿だけ!」という不満は、強烈な印象となって、お客様の心に残ります。その結果として、リピーターの獲得に失敗するだけでなく、クチコミなどで悪い評価をされてしまい、「新規顧客」の獲得まで危ぶまれる状況になりかねません。

人件費のコントロールとスタッフの数の調整

ローコスト化、ローコスト帯での戦いを続ける飲食店にとっては、このような「人件費と顧客満足度のせめぎ合い」は非常に大きな問題です。そもそも、いわゆる「高級店」と呼ばれるお店のサービスが行き届いているのは、「客単価が高いがゆえ、スタッフの数を十分に用意できる」というところも大きいのです。

ローコスト帯で勝負する飲食店の場合は、「どのようにしてこれを調整していくか」を考えることが必要になります。

その方法には、いくつかのやり方があります。

まず、1人あたりの仕事の能力を上げることです。1人あたりの人間の能力があがり、うまく切り盛りできるようになれば、同じ時間に入る人間の数を減らすことができます。また、効率よく仕事を回せるため、顧客満足度も低下しません。
「一人ひとりの能力を伸ばすこと」はなかなか難しいものです。ただ、教育のためにしっかりと時間を割き、それぞれの特性にあった仕事を割り振るようにしましょう。初めは遠回りに思えても、後々になって、この考えや教育は必ず生きてくるはずです。

次に、その日の状況をよく把握すること。暇な日にはパートやアルバイトは時間より早く上がるように指示しましょう。逆に、イベント会場など、忙しいところの近くのお店では、
繁忙期には精鋭ぞろいでシフトを組むと言います。こうすることによって、お客様を満足させつつ、人件費を大幅にカットすることができます。

「どれくらいのスタッフを入れるか」ということは、飲食店においては永遠の命題です。これによって左右されるものは、「費用」だけでなく、お客様の満足度もです。決しておろそかにはせず、常に、「無駄はないか」「本当にこれだけの人数で足りているのか」を考えてシフトを組んでいきましょう。