低価格路線を飲食店経営の成功に効果的に活かすには?

低価格路線は自分の利益幅を削るスタイル

飲食店を利用する際、価格はお店選びの重要なポイントです。やはり安さは大きな魅力の一つです。できれば安くて満足のいくものを食べたいと思うのは至って自然な流れです。

だからといって開業するお店のコンセプトが必ずしも「低価格路線」である必要はありません。

消費者側から見れば大いに魅力的に映るのですが、運営者側からすれば客単価が低くなり、利益幅も小さくなるので、薄利多売を確実に立ち行かせなくてはならなくなります。利益幅の小ささを補うだけの十分な集客を実現できなければお店は簡単に潰れてしまいます。

牛丼チェーンのしのぎを削るような低価格競争は記憶に新しいと思います。時代背景も当然影響していて、商品の価格はびっくりするレベルまで下がっていきましたが、最終的には得をしたのは消費者だけという結果に終わりました。

蓋を開けてみれば、そのツケは人件費の異常なまでのカットという形で表面化し、最後は社会問題のような形にもなりました。もしあれが個人レベルの小さなお店ならとっくに潰れています。

薄利多売を逆に手玉に取れるような余程考え抜かれた強力な戦略があれば別ですが、全メニュー規模で安さを打ち出してしまうと大変な苦労に遭遇する可能性があることだけは肝に銘じておかなくてはなりません。

安さを最優先にお店を選ぶことは意外と少ない

落ち着いて考えてみるとすぐにわかるのですが、私たちが飲食店を利用する際、必ずしも低価格路線のお店ばかりに行くわけではありません。実際、様々な用途でお店に足を運んでいるのですが、それぞれの目的に合ったお店をおのずとセレクトしているはずです。

・一人で簡単にランチを済ませるためのお店
・久しぶりに友人と雑談するためのお店
・誰かの誕生日を祝うためのお店
・自炊するのが面倒なときに利用するお店
・食べながらお酒も飲めるお店
・お酒を飲むことを目的に行くお店

ざっと思い浮かぶだけでもこれだけの用途が挙がりましたが、振り返ってみると安さが魅力のお店に行く機会は思っている以上に少なめなんだな、と改めて気付かされる結果となりました。

結局のところ、単に「安さ」というよりも、提供される商品やお店の雰囲気、そして価格を含めたトータルなバランスを無意識のうちに計りながらお店を選択しています。

ですが、いざ飲食店を開業しようと運営者側の視点に立つと、なぜか低価格路線を強く意識し始める傾向があります。実際には安さよりも利用目的に合った最適な「価値」を優先していることの方が断然多いにも関わらずです。

最も大事な要因は「どんな価値を提供できるか」であり、「安さ」はその中に含まれるアピール要素の一つでしかないことを、まずはしっかりと認識してみることが大切です。

低価格以外のアピール要素を徹底して企画

極端な話をすれば、安さをアピールすることは誰にだって出来てしまいます。つまり、やろうと思えばいつでもできる戦略とも言えるでしょう。

安さを打ち出す戦略は一旦脇に置いておき、まずはそれ以外に特徴となり得るポイントを徹底的に考えてみましょう。実はここがお店の命運を左右するコアな部分です。

安さ以外の特徴を作り出すのは思っている以上に簡単ではないのですが、それを作り出すことが出来れば、オリジナル、且つ強力なセールスポイントになり得ます。

皆さんのお店にとって競合となり得る「安さが売りの大手チェーン」がすぐ隣に出店してきた場合について考えてみてください。もし価格競争になってしまったら到底太刀打ちするのは不可能です。

そうなると他の部分で勝負しなければいけません。その時、価格以外の強力なアピールポイントを持っていることこそが、大手チェーンとも共存しうる重要なポイントであり、繁盛店へ成長できる強力な原動力ともなり得るのです。

この重要なポイントについては、新規出店が実現するまでの間にじっくりと考え抜いておく必要があります。参考になりそうなお店を意識的に食べ歩いたり、飲食店を実際に経営している知人に相談してみたり、外食ビジネスに特化した書籍を読むなどして多くの気づきを吸収してみると良いでしょう。

その上で数を絞った低価格メニューを客寄せ目的に利用

オリジナルなアピールポイントをきっちりと構築できたら、ここで部分的に「安売り要素」を投入します。客寄せを目的とし、限定したメニューのみを競合店より安い価格で提供するなど、来店するための明確な理由を提示するのです。

その際、間違っても全メニュー、又は大部分のメニューに適応しないことが重要です。あくまでも客寄せを目的とした限定的な一部のメニューのみとします。

その上で、前述の独自のアピールポイントの告知を徹底し、お店の良さを知ってもらいリピート客になってもらえるよう努めます。

こうすることで全面的な低価格路線のリスクを上手く回避しつつ、且つ、安さを効果的にアピールでき、結果として順調に常連客を拡大していける好循環を手にすることが出来るでしょう。