格好良さか、それともわかりやすさか?飲食店のメニューと店内の雰囲気

お店にこだわりがある人であればあるほど、「格好良い店内を作りたい」「お客様を、非日常に案内できるお店を作りたい」と考えるでしょう。
これはもちろん、悪いことではありません。格好良い店内、非日常を味わえるお店というのは、お客様にとって心地のよいものだからです。

しかし、時折、この「格好良さ」「非日常を味わえること」に重点を置きすぎるがあまり、「わかりやすさ」を置き去りにしているお店もあります。
今回は、「わかりやすさ」と「格好良さ」のバランスについて見ていきましょう。

気を付けて!そのメニュー、読めません

フランス料理やイタリア料理などでよくあるケースですが、メニューブックを開いたとき、そのメニューがフランス語(もしくはイタリア語)だけ、もしくはそれを直訳しただけの文章が羅列している、ということがあります。

「日本語で書いてあるのであれば読めるのでは?」と思うかもしれませんが、たとえば、「旬の真鱈のポワレ、ヴァン・ブランソース(※1)と甘くないプディング・ドゥ・フロマージュ(※2)添え」と日本語で書かれていた場合、これを正確に「どんな料理か」ということを読み取れる人の数はそう多くありません。

※1 ヴァン・ブランソース…フュメ・ド・ポワソン(魚の洋風ダシ汁。野菜と白身魚の骨に白ワインを加えて作るもの)に生クリームなどを加えて作る白いソース。
※2 プティング・ドゥ・フロマージュ…チーズを使って作るプリン

「ポワレ」くらいは、「多分焼いたものなんだろうな」「なんとなく聞いたことがある」という人もいるかもしれませんが、ヴァン・ブランソースなどになるとどんなソースかイメージがしにくいでしょう。

日本語の表記がなく、フランス語の表記と読み方だけしか書いていないのであれば、なおさらわかりにくくなります。

もちろん、雰囲気を味わうことも楽しみの一つです。また、メニューブックの紙面の都合上、料理のすべての説明を書くことはとても難しいでしょう。

「問い合わせ」にすぐに答えられる?

ただし、メニューブックからだけではどんな料理か伝わりにくい、ということであれば、それをフォローする手立てが必要です。

高級料理店などでは、お客様もある程度の知識を持った方が来店されることが多いと思われます。しかしそれに甘えていてはいけません。なぜならば、高級料理店は、「お客様の不明点に対して、しっかりとした回答を出せること」も一つの条件だからです。
このため、本日出されているメニューについては、その詳細をホール担当者が答えられなければいけません。

このときに注意してほしいのは、「通り一辺倒な知識だけではだめだ」ということです。
ソースの内容、作り方、入っているハーブに至るまで把握しておくことが求められます。また、それをわかりやすくお客様に伝えられなければいけません。

上であげた「ヴァンブラン・ソース」の解説として、「フュメ・ド・ポワソンに生クリームを入れたソースです」と答えても、「フュメ・ド・ポワソンとは何ぞや」という疑問が残るからです。

忘れてはいけないのは、お店の「格好良さ」というのはあくまでお客様を心地よくするためのものだ、ということです。そのため、その「格好良さ」に気を取られていて、わかりにくい店内作りになっていては元も子もありません。

ランチメニューのときなどでいちいち説明している時間がない、ということであれば、黒板などに説明を書いたり、写真を添付したりするとよいでしょう。

また、ホームページに記載する場合は、ある程度丁寧に書いておくのもよいものです。

店内の案内にも一工夫したい

コンセプト居酒屋などが流行りはじめたこともあり、店内の雰囲気や作りが非常に凝っているところもあります。このような店内作りはとても格好良く、お客様の目を楽しませます。

ただ、居酒屋などの場合は暗いところが多く、段差などが見えにくいところもあるでしょう。そのような場合は、席に案内する人が、「段差があるのでお気を付けください」などのように一声かけるとスマートです。
また、店内で少し戸惑っているお客様がおられた場合には、「何かお困りでしょうか」と声をかけるようにするとよいでしょう。

メニューの表記にしろ店内の作り方にしろ、そこで働いている人にとっては、それは「当たり前に持っている知識」であり、「歩きなれた店内」であり、「今さら説明は必要のないもの」です。
しかしお客様にとってはそうではありません。何割かのお客様は初めて来訪される方でしょうし、まだ食べたことのない新しい料理にわくわくしている方々です。

格好良いメニューブックや店内はお客様の目を楽しませてくれるものですが、同時にちょっとわかりにくかったり、ちょっと不便さを感じたりすることもあります。
その点について、ホール担当者がきちんとフォローできることができれば、そのお店は、「格好良さ」と「すごしやすさ」を両立できたお店となることでしょう。