飲食店にとって追加融資の申込みのベストタイミング

事業を続けていたら最初に借りた融資でのお金が足らなくなって追加融資が必要になってくることがあります。金融機関にとって一般的に当初融資より追加融資のほうがトータルの融資金額も増えるため審査は慎重になります。一方事業主の性格にもよりますが、追加融資を金融機関に申込みしてくるタイミングもバラバラです。そこで追加融資の申込みのタイミングはいつがいいかという点からこの問題を考えてみましょう。

追加融資の3タイプ

銀行等から追加融資を受ける場合には3つの形があります。

①増額融資

現在借りている融資を返済途中で一度返済して改めて当初借りた融資額あるいはそれ以上の融資を借りる方法です。融資残金の返済は追加融資実行と同時に融資金から返済するので別途資金を用意する必要はありません。ただ金融機関としても当初融資額を超える増額融資を審査するより、当初借入額まで融資を戻す方が既に実績があるので審査が通しやすいです。銀行員がノルマ達成のため手っ取り早く融資残高を増やす方法によく使われます。

②別枠融資

このタイプの融資には当初は保証協会付き融資で取り上げ、次にプロパー融資を実行する形と取り上げ方がその逆になるケースがあります。
いずれにしても事業主からすれば融資額が増えますので追加融資となります。
現在取引している金融機関だけで対応が可能な方法です。

③借り換え融資

借り換え融資は、取引のあるA銀行の融資をB銀行に借り換えて併せて融資額をA銀行の融資残高以上実行してもらうことで追加融資を受ける方法です。
金融機関は常に融資競争をしていますので、事業主が同じ取引銀行内で追加融資を受ける場合より借り換えにより審査や融資条件の面で有利になる場合もあります。

追加融資の要因

追加融資が必要になってくる原因は色々あります。

①売上が低下あるいは増加

事業をやっている以上、この原因がまず一番に考えられます。何らかの原因で売上が落ちれば仕入や人件費、各種の経費が掛かる以上、追加の資金を用意しなければなりません。
これは逆に売上が増加する場合も同様で追加資金が必要になります。追加の受注に対して仕入の増加や必要な従業員数を増やさねばならない一方で、すぐに売上を回収できないケースはたくさんあります。そのような場合も資金繰り上、追加の運転資金を準備しなければなりません。

②利益の低下

売上低下が長引き、あるいは売上が増えてもそれ以上に経費が掛かるなど、利益が出なくなってくると蓄えていた運転資金も底を付いてきて追加資金が必要になってきます。
このケースはそもそも銀行サイドから見れば融資に対する支払能力が落ちてきていることを意味するので、一時的に売上が増減して追加融資が必要になることより融資の判断が難しくなってきます。
早めの抜本的な対策が必要なケースです。

③回収条件・支払条件が変化

これは顧客や仕入先との取引条件が大きく変化することにより追加資金が必要になるケースです。対策は色々ありますが、例えば顧客の回収条件が悪化すれば仕入先に無理を頼んで支払条件を同じように自社に有利なように変えてもらえば追加資金は必要ありません。しかし実際そのようにうまくいくことは少なく、自社で追加資金を準備しなければならないことも多いです。

金融機関が追加融資に応じる条件

金融機関としても追加融資に応じる以上、納得性がなければ簡単に融資に応じることはできません。そこにはいくつかの条件を事業主が満たす必要があると思います。

①利益を確保していること

当然のことですが、融資の支払財源である利益、特に本業での利益を示す経常利益で黒字であることが必要です。利益がマイナスでは金融機関としても融資に慎重になります。特に長期間赤字が続いて資産を負債が食いつぶしている状態、債務超過だとまず融資に応じることができません。債務超過は会社が倒産する直前に起こる現象ですのでわざわざ貸し倒れリスクの高い融資をする金融機関は少ないでしょう。

②売上あるいは利益が上昇基調、もしくは回復基調にあること

金融機関が追加融資に応じるにはその事業が今どちらの方向に向かっているかという流れの把握が必要です。
景気や経営手法の変化等で一時的に売上や利益が落ちることはあります。しかしそれを乗り越えて売上や利益が上昇、あるいは回復過程にあることを金融機関が確認できるならそれに必要な追加融資は応じてくれます。
逆に売上や利益が落ちているにも関わらず、経営者が原因を景気のせいにしたり無策で何も努力していないように金融機関に見られるとまず追加融資には応じてくれません。

③追加融資の資金目的が明確であること

金融機関がなぜ追加の資金が必要になるか事業主に説明を求めた時、事業主の答えがあいまいだと金融機関は不安を覚えてしまいます。自分がなぜお金が必要なのか、明確に説明できない人に簡単にお金を貸す金融機関などあるでしょうか。

追加融資を必要とする時は資金の目的を明確にするため、その目的が運転資金なら売上が上がっている根拠となる注文書及び3~6ケ月前と先までの資金繰り表、もし設備資金が必要なら購入予定の設備のカタログなどを準備して金融機関に提示する必要があります。

追加融資を事業主がうまく引き出すタイミングとは?

事業主が金融機関に対し追加融資に応じてくれる条件を満たした上で、次に追加融資を受けるにはどのようなタイミングが良いか説明します。

①最低6ケ月以上間を開けること

前回融資より6ケ月以上は間隔をあけて追加融資を申し込まないと、金融機関は事業主が資金繰りの管理もできていないのかと勘ぐって融資に慎重になります。

さらに仮に6ケ月開けても返済期間にもよりますが融資残高がそれほど減っていないケースもあります。それだと同じ金融機関では増額融資に応じられるケースが限定されてくるので、この場合は必要分を他の金融機関に相談して融資してもらう方がいいかもしれません。とにかく最初の融資から1~3ケ月で追加融資を頼むのは避けて、6ケ月~1年以上経ってから追加融資を申し込むのがタイミングとしていいと思います。

②切迫した追加融資は嫌われる

期限が切迫した追加融資は金融機関に嫌われます。理由のひとつは審査に時間が掛かるにも関わらず、事業主の都合で切迫した案件を依頼してくるそのタイミングの悪さです。ふたつにはその案件を金融機関内で優先的に処理すると先に申込みしてきている他の融資申込者に迷惑が掛かる点です。

事業主はそれを理解して十分時間的余裕を持って最低でも資金が必要となる1ケ月前までに融資依頼をして下さい。それだと金融機関は十分対応ができます。

③融資残高が1/2~1/3に減った段階が追加融資の絶好タイミング

銀行は優良な取引先なら融資がしたくてたまりません。しかし資金をいつ売り込んでいいというわけでもなく、銀行も追加融資を効果的に提案するタイミングを計っています。

それのベストタイミングが前回融資の残高が返済により1/2~1/3の状態になった時です。事業主の業況や返済が順調なら既に融資の実績もあるので元の融資額まで実行することは非常に簡単です。銀行員もそのタイミングを見越して事業主に追加融資を提案してくるでしょう。

事業主もせっかくのグッドタイミングですから、さらに銀行員に前回を超える追加融資を申込みしてはいかがでしょうか。最初に持ち掛けてきたのが銀行側からなら、銀行としても後に引けなくなって事業主に良い結果になる場合があります。