嘉泉(かせん)[田村酒造場:東京都]

玉川上水のほとりで醸す酒

東京都の西部、福生市を流れる玉川上水のほとりで酒を醸す田村酒造場は、文政5年(1822年)創業。九代目が造り酒屋を始める前、田村家は地元の名主総代を務めていました。

喜ぶべき泉のごとく

代表銘柄の「嘉泉」は文字通り「喜ぶべき泉」を意味します。九代目が酒造りを始めるにあたり、敷地内に井戸を掘ったところ、秩父奥多摩に端を発する良質の湧き水が湧出。そのときの歓喜の様が銘柄名「嘉泉」に込められています。

多摩川と玉川上水

福生市の中心部を流れる多摩川は、広々とした河原が広がり、夏は鮎釣りのメッカとして太公望たちが竿を繰り出します。江戸時代、多摩川に架かる堰(せき)から取水した玉川上水は、生活用水や農業用水を江戸の中心部まで供給する生活インフラでした。その流れは、地元の名主総代を務めていた田村家の敷地内に通じています。

敷地内を流れる田村分水

田村家の敷地内には、玉川上水より取水した川が流れています。先に触れた通り、かつては生活用水や灌漑用水として使われていたもので、「田村分水」と呼ばれていました。

酒造りに適した中硬水

田村酒造場は現在でも、190年以上前に掘ったとされる井戸水を仕込み水に用いています。酒造りに適した中硬水の水は、「嘉泉」のような独自の味わいの酒を醸します。

銘柄に合わせて小仕込みで

「嘉泉」などに使用する酒造好適米は、「山田錦」をはじめ、岩手県産の「吟ぎんが」、山形県産の「山酒4号」、北海道産の「吟風」など。銘柄に合わせてそれぞれを小仕込みで仕込んでいます。

和醸良酒をモットーに、確かな技術で

「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」をモットーに掲げた酒造りは、蔵人のチームワークこそが要です。南部杜氏のもとで、ゼロから鍛え上げられた地元・東京出身の杜氏たちが、確かな技術と徹底したこだわりで伝統の酒造りを実践。地域の風土を表現した「和酒・嘉泉」を醸しています。

「嘉泉」に代わる新銘柄

平成16年、屋号の名を冠した新銘柄「田むら」を立ち上げました。特別限定品の「かねじゅう 田むら」は、素材・製法にとことんこだわった純米吟醸酒で、どっしりとした存在感のある味わいです。また、燗酒のうまさを追求した純米酒の新ラインナップ(「純米酒 白麹使用」)も登場。時代の流れを汲み、日本酒の可能性を広げる取り組みが注目されています。