菊姫(きくひめ)[菊姫:石川県]

日本一の酒と称された「加賀の菊酒」

天保年間に「小柳屋」として酒造りを始めた同蔵元は、日本一の酒と称された「加賀の菊酒」を醸す造り酒屋の一つです。400年以上の歴史を有する老舗蔵が醸す酒は、かの豊臣秀吉が醍醐の花見で取り寄せた銘酒として『太平記』にも記されています。

流行に左右されない酒造りを実践

昭和40年代の初め、当時はまだ珍しかった吟醸酒を業界に先駆けて発売。その後、昭和50年代後半に山廃仕込みの純米酒を発売するなど、流行に流されない酒造りを実践してきました。

今日では全国新酒鑑評会の実績も高く、昭和42年(1967年)に初出品して以来、23年間にわたり連続受賞するなど、「菊姫」ブランドのクオリティーの高さには定評があります。

霊峰に源を発する天然水で

白山連峰は2000メートル級の山々が連なる日本三名山の一つです。山の雪解け水は大地を潤し、地中深く浸透して手取川水系の伏流水となり、その清冽な水が「菊姫」を始めとする加賀の酒造りに使われています。同時に、稲作を始めとする農業にも欠かせません。霊峰に源を発する天然水は、正しく「命の水」です。

酒米「山田錦」の産地を指定

「菊姫」の原材料となる酒造好適米は、吟醸酒・純米酒ともに、酒米の王者である「山田錦」を全量使用しています。こだわりは産地にあり、同蔵元は山田錦の生産地としてはトップクラスの兵庫県特A地区産を使用。昔から生産農家との交流に重き、足繁く通い詰めるなど、希少な酒米の安定確保に努めてきました。ちなみに「菊姫 純」は、国内で最初に「山田錦」を使用した普通酒として発売。品質と味のバランスが高い評価を得ています。

手づくりの大切さを忘れない

高品質の酒米を生かすも殺すも、精米技術が大きく影響することから、菊姫合資会社では創業以来一貫して全量を自家精米してきました。平成7年には吟醸酒造りに特化した専用蔵「平成蔵」を設立。近代化された設備の中で、精米を始めとした高品質の酒造りに取り組んでいます。

しかし、その一方で、手づくりの大切さも忘れていません。洗米や浸漬などの原材料の処理は蔵人の経験と勘が頼り。繊細さが要求される工程は、昔ながらの手仕込みに徹しています。

3年、10年じっくり寝かせる

酵母が発酵するために最低限必要な温度までシビアに管理し、低温でじっくり発酵させるのが同蔵元の酒造りです。その後の熟成にもとことんこだわり、特に吟醸酒は3年以上寝かせるというから驚きです。3年間熟成させた「菊姫 黒吟」は、こだわりが結集した代表作。さらに10年以上熟成させた「菊姫 菊理媛」は、発売当時、酒造業界の話題になりました。いずれもタンク貯蔵ではなくビン貯蔵であることも、大きなこだわりです。