吟醸酒好きにはたまらない 「くどき上手」

2014年5月25日、酒造りの神を祀る、京都の松尾大社で、第1回「酒-1 グランプリ」が開催された。日本酒の魅力を若い世代にも知ってもらおうと、蔵元の若手グループ「若手の夜明け」によって企画されたイベントで、全国から26の蔵元が自慢の日本酒を持ち寄った。古式ゆかしい「クールジャパン部門」、ワイングラスがお似合いの「雅(みやび)部門」、もっとも愛されたお酒「総合部門」が、2時間にわたる利き酒の後、500人の参加者による投票で競われた。

結果、「酒-1 グランプリ」を総なめにしたのは、山形県鶴岡市にある亀の井酒造だった。
「クールジャパン部門」では「スーパーくどき上手」が、「雅部門」では「くどき上手 Jr.White」がグランプリを獲得し、さらに「スーパーくどき上手」は「総合部門」において栄えあるグランプリに輝いた。

「くどき上手」は、1984年、五代目社長兼杜氏の今井俊治氏によって造られた銘柄である。原料米を換えて造られる、さまざまな酒米シリーズが出されているが、中でも「スーパーくどき上手」はその名に相応しい限定純米大吟醸だ。使用されている原料米「改良信交」は、山形県唯一の酒造好適米として栽培されてきたが、ここ10年その姿を見ることはできなくなっていた。その「改良信交」を、4年の歳月をかけて復活させ、ようやく120俵を収穫した。これを30%まで磨き上げ、明利M310酵母で仕込んだ、総米900キログラムのタンクわずか1本のみという限定醸造だ。お猪口を顔に寄せると、デリシャスリンゴや杏を思わせる上品な果実のような上立ち香が鼻をくすぐる。口に含むとビロードのように柔らかくなめらかな舌触り。喉ごしはすっきりとしていて、切れ味がいい。甘・辛・酸・苦・渋の五味が素晴らしく調和した、左党を唸らせる酒に仕上がっている。

「くどき上手 Jr.White」は、亀の井酒造の専務、今井俊典氏が全行程を手掛けた、純米大吟醸シリーズ第三弾。亀の井酒造の次代を担う俊典氏は、若干28歳にして、銘酒揃いの山形県で利き酒審査委員に抜擢されるほどの確かな舌の持ち主である。将来を嘱望される若き醸造家が、これまでになかったきれいな酸と香りを求めて醸した酒が、「くどき上手 Jr.White」だ。原料米には、兵庫県多可町で契約栽培された播州産「山田錦」を使用、44%まで磨き上げ、霊峰月山系の伏流水とM310・協会1801酵母で仕込んでいる。

米の芯の旨みを醸し出した酒……。亀の井酒造の「くどき上手」シリーズは、いずれも吟醸酒好きにとってはまさに垂涎の的である。居酒屋で「くどき上手」をみつけたら、ぜひ味わってみてほしい。