黒牛(くろうし)[名手酒造店:和歌山県]

漆器のまちの造り酒屋

慶応2年(1866年)創業の名手(なて)酒造店は、室町時代から漆器の産地として栄えた和歌山県海南市黒江で酒を醸してきました。創業当時、初代は漆器づくりに関わる職人たち(木地師、塗師、蒔絵師など)や、地元の名手を相手に商いを続けていたとされています。

純米酒に特化した「黒牛」

平成2年、純米酒に特化したブランド「黒牛」を立ち上げました。以来、同蔵元が手がける商品のおよそ95%は純米酒で占められています。主な出荷先は和歌山県内が中心で、その比率は常に60%台をキープ。地元で愛飲されていることがよくわかります。

古の酒造りを今に伝える伝承館

昭和59年(1984年)、生活文化としての酒造りを伝えることを目的に「温故伝承館」を本社前にオープンさせました。酒造りのすべてが手作業で行われていた時代の貴重な道具や器械、各種史料のほか、当時の生活用具など多数展示しています。

建物に併設した「黒牛茶屋」では、コーヒーや甘酒が味わえるほか、利き酒のコーナーも。販売コーナーでは清酒や酒器、地元の特産品などを取り扱っています。

酒造りに欠かせない「黒牛の水」

名手酒造店の仕込み蔵にほど近い、中言(なかごと)神社境内から湧き出す井戸は、「黒牛の水」として県指定の「紀の国名水」にも選ばれています。同蔵元の敷地内にある井戸は「黒牛の水」と同じ水脈で、弱硬水の水は昔から酒造りに使われてきました。

純米蔵の酒米へのこだわり

純米酒に特化した酒蔵だけあって、酒造好適米の品質へのこだわりは相当なもの。名手酒造店が仕入れる酒米は地元・和歌山県産をはじめ、兵庫県、富山県、滋賀県、岡山県など北陸・近畿・中国の5県に及びます。

平成20年秋、同蔵元は「和歌山県産米にこだわる蔵元の会」を発足させ、地元での酒米の契約栽培にも取り組んでいます。

代表酒「黒牛」ほかリキュールも人気

名手酒造店の商品ラインナップは、純米酒に特化した「黒牛」を筆頭に、レギュラー商品をメインとした「菊御代(きくみよ)」、大吟醸酒など高級ラインの「一掴(ひとつかみ)」、県内産の契約栽培米を原材料にした「紀の国・松の齢(きのくに・まつのよわい)」などがあります。

また、純米酒「黒牛」の原酒に完熟した南高梅を合わせた「黒牛仕立て 梅酒」ほか、「黒牛仕立て ゆず」や「黒牛仕立て じゃばら」などリキュール類のラインナップも豊富です。