正雪(しょうせつ)[神沢川酒造場:静岡県]

駿河湾を望む老舗酒蔵

大正元年(1912年)創業した神沢川酒造場は、静岡県のほぼ中央、東海道17番目の宿場町として栄えた由井町で酒を醸しています。

ここは霊峰・富士山をバックに南に駿河湾を望む風光明媚な地。シラスやサクラエビの水揚げで知られる由井港を望む周辺一帯は、宿場町の風情を残す歴史あるたたずまいが今なお残り、観光名所にもなっています。

地域の偉人の名を冠した「正雪」

代表銘柄「正雪」の名は、江戸時代前期に活躍した地元出身の軍学者・由井正雪(ゆい・しょうせつ)にちなんでいます。由井は、慶安4年(1651年)に起こった「慶安の変(由井正雪の乱)」の首謀者としても知られています。ちなみに、同蔵元の社名「神沢川酒造場」は、近くを流れる神沢川に由来します。

神沢川の伏流水を仕込み水に

静岡県は年間を通して温暖な気候ですが、日本酒ファン垂涎の名酒蔵が多いことで知られています。中部地方はかねてより発酵文化が発達した地域で、酒蔵のみならず味噌蔵や醤油蔵などの老舗蔵が点在し、それぞれに独自の味を追求してきました。

神沢川酒造場のある港町・由井もまた、年間を通して気候は温暖です。周辺は田んぼこそ少ないのですが水に恵まれた地域で、同蔵元は近くを流れる神沢川の上流から引き込んだ軟水を、「正雪」の仕込み水に使っています。

兵庫県産の「山田錦」を中心に

神沢川酒造場が使う酒造好適米は、兵庫県産の「山田錦」を中心に、同県産の「愛山」、岡山県産の「雄町」など数種類を使い分けるほか、静岡県オリジナルの酒造好適米「誉富士」を使い、純米酒を製造しています。

自家培養酵母で「正雪」を醸す

同蔵元はかつて、地場の静岡酵母のみで酒を醸していましたが、現在は自家培養酵母(協会酵母10号、M-310酵母など)を使い分けています。

昔ながらの酒造りを踏襲

酒米を蒸す釜は「和釜」を用い、麹は中箱麹法による完全手づくりです。その他、限定吸水、長期低温発酵など、昔ながらの酒造りを随所に取り入れています。

吟醸王国を代表する「正雪」の味わい

こだわりの酒を醸す蔵が集中する静岡県は、「吟醸王国」とも称されるほど、高級ラインの酒造りが盛んです。同蔵元おいては「正雪 純米吟醸生 吟ぎんが」がその代表格。メロンのような芳醇な香りが身上です。