末廣(すえひろ)[末廣:福島県]

地酒三カ条のもとに醸し続ける

末廣株式会社の創業は、江戸時代末期の嘉永3年(1850年)です。以来、160年以上にわたり、福島県会津若松市で酒を醸してきました。

同蔵元には、「天然の旨い仕込み水」「伝承される会津杜氏の匠」「仕込み水と同じ水、仕込み水が湧く大地に育つ酒米」からなる地酒三カ条があり、これを守り続けることが酒蔵の魂であるとしています。

「原点は地酒にあり」を理念に

同蔵元の酒造りにおける理念は、「原点は地酒にあり」。実にまっすぐでシンプルな表現です。地元・会津で生まれ育った大地の恵みと、酒蔵に伝承してきた匠の技が調和してこそ、本物の酒「末廣」を醸すことができるという意です。

会津の酒を会津の人で造る

現在の蔵元の味の基礎が確立したのは明治期に入ってから。三代目当主が県外から杜氏を招き、プロの職人による日本酒を初めて造りました。その後、県外の杜氏に指導を受けた地元生まれの蔵人が成長し、現在の会津杜氏となり、地元の酒「末廣」を地元の人で造るスタイルが実現しました。

肥沃な土壌で杜氏や蔵人も協働稲作

同蔵元がある福島県会津若松市は、磐梯山山麓に広がる盆地に位置しており、伏流水に恵まれた肥沃な土壌であり、稲作栽培好適地です。現在、同蔵元の契約農家は約100軒あり、酒米づくりには蔵人や杜氏も参加し、ともに励んでいます。

二つの酒蔵から出る湧水

同蔵元には、創業当時から存在している「嘉永蔵」と、のちに竣工した「博士蔵」の二つの蔵があり、どちらの敷地内からも天然水がこんこんと湧き出ています。きめが細かく、柔らかなこの水が「末廣」の酒造りを支えています。

試行錯誤の末に生み出した山廃仕込み

同蔵元は昔から、酒米づくりや酵母の開発などを積極的に進める社風があります。その中で、代々大切にしている製法の一つに「山廃(やまはい)仕込み」があります。

明治時代の末期から大正年間にかけて、四代目当主が酒造技術者の嘉儀金一郎氏を技術指導に招きました。嘉儀氏は当世の酒造りにおける第一人者で、氏とともに試行錯誤しながら生み出した製法が「山廃仕込み」とされています。

もう一つ、創業以来受け継いでいる伝統製法は、独特の荒踏みを行う「生酛(きもと)仕込み」です。この製法で醸した「伝承生もと 末廣」は、濃厚で野太い味わいと酸味が調和した特別なブランド酒です。

「お燗名人養成講座」を開催

深い雪に閉ざされる会津地方で好まれる飲み方は、やはり燗酒。身体を芯から温めてくれるだけではなく、酒のまろやかさがいっそう感じられ、食事の味わいを引き立たせる効果があります。同蔵元はこの燗酒をよりおいしく楽しむための研究を長年重ねてきました。そのユニークな取り組みの一つに、平成17年に設立した「お燗名人」認定制度があり、各地で「お燗名人育成講座」を開催しています。

酸味と甘みが調和する、伝承山廃純米

うま口の中に辛みを感じ、のどもとをすーっと通り過ぎてゆく同蔵元の酒。「伝承山廃純米 末廣」は、大正初期に試験醸造した当時の味を守り続けており、酸味と甘みバランスよく融和した純米酒です。燗酒にももちろん合います。復活栽培米「亀の尾」を使った「純米大吟醸 亀の尾」は、さわやかな清涼感と上品な酸味が味わえます。