酔仙(すいせん)[酔仙酒造:岩手県]

太平洋戦争中に創業

酔仙酒造の創業は、太平洋戦争末期の昭和19年(1944年)です。岩手県沿岸部の最南端を気仙地域と呼びますが、当時の「企業整備令」により、気仙地域にあった8つの酒蔵が1つにまとまったのがはじまりです。以来、東日本大震災が起きるまでの67年にわたって、陸前高田市で酒を造り続けてきました。

東日本大震災を乗り越えて

平成23年3月11日、東日本大震災による大津波で蔵は全壊してしまいました。しかし、災害に屈することなく、陸前高田市に隣接している大船渡市にある他社の蔵を借りて、酒造りを再開しました。翌年には大船渡市に新しい社屋を建設ています。

酔うて仙郷に入るが如し

社名であり主力銘柄として名を馳せている「酔仙」ですが、創業当初の社名は「気仙」でした。銘柄が変わるきっかけとなったのは、地元出身の画家、佐藤華岳斎氏のすすめによります。佐藤氏はこの酒の大ファンの一人で、「酔うて仙境に入るが如し」と讃えて、銘柄を「気仙」から「酔仙」に変えるように勧めたのです。こうして、現在の銘柄「酔仙」となりました。

北上山系、氷上山の麓で醸す

震災後に移転し、操業を再開した大船渡市は岩手県の沿岸部にあり、酒蔵の場所は北上山系の氷上山(ひかみさん 標高874.7メートル)の麓にあります。空気が美しいこの場所で、地下からくみ上げている水は、クセのない水質であると同時に、適度な硬度を含んでいます。同社では、洗米や浸漬、仕込み水に至るまで、この伏流水をふんだんに使い、心を込めて「酔仙」を醸しています。

強くてきれいな水を使う

水は酒づくりにおいて、実に8割を占める重要な素材です。震災後に現在地を選んだ理由は「水源」でした。新工場建設のために3本のボーリング調査を行い、3本目の調査でようやく、水量と水質のどちらも納得のいく水源を見つけ、現在地を再興の地に決定しました。

原料米に合った酒造り

無駄なものを削ぎ落した、簡潔な米麹づくりを心がけています。「重くない軽快な麹づくり」を重点に置き、麹の風味をしっかり出しながらも軽快な飲み口の酒を目指して、広く大きな麹室を使っています。麹づくりの前半は十分に湿度を保ち、後半はしっかりと麹米を乾かしています。

飲み飽きしないお酒

うまみとキレのバランスが自慢。震災後に商品化した純米原酒「Rise Up,Kisen!(ライズアップ・気仙!)」は、復興への誓いが力強く伝わる酒です。白米から製麹、発酵、搾りに至るまで時間と手間ひまを惜しまずに造り上げた「大吟醸 酔仙」は、ふくよかな香りと優しい味わいが楽しめます。

おなじみ「雪っこ」ブランド

同社の有名なオリジナル商品の一つが、缶に入った白いお酒、「雪っこ」です。活性原酒ならではのぷちぷちとした舌触りと独特の酸味に、濁り酒でもしつこくない後味のさわやかさがクセになります。冬季限定で、毎年の発売を全国各地の酔仙ファンが楽しみに待っています。