手取川(てどりがわ)[吉田酒造店:石川県]

「酒造りの村」で醸す酒

明治3年(1870年)創業の吉田酒造店は、「酒造りの村」として知られる山島村(現・安吉町)で酒造りを始めました。明治から大正時代にかけて、手取川の扇状地に位置する山島村周辺には、十数軒もの造り酒屋が軒を連ね、「山島酒」や「手取酒」と呼ばれて人気を博しましたが、現在では吉田酒造店を残すのみとなりました。

清流・手取川の名を冠した酒

手取川が流れる肥沃な扇状地は農業が盛んで、県内屈指の米処として知られています。吉田酒造店の代表銘柄「手取川」は、連綿と地域を潤してきた聖なる川の名を冠しました。

酒類鑑評会での数々の受賞歴

「手取川」は各種酒類鑑評会で優秀な成績を収めています。全国新酒鑑評会における金賞受賞はこれまでに10回、金沢国税局酒類鑑評会における優等賞受賞はこれまでに19回を数えます。

霊峰・白山連峰に抱かれて

2000メートル級の山々が連なる霊峰・白山連峰。そこに源を発する手取川の伏流水は、稲作をはじめとする農業や、酒造りに代表される醸造業に欠かせません。米どころは、酒どころ。北陸の冷涼な気候は酒造りにも適しています。

地元の米と地元の米で醸す「手取川」

吉田酒造店の酒米はすべて、信頼のおける地元農家が契約栽培したものを使っています。例えば、酒米のおよそ4割は兵庫県産の「山田錦」、残りのおよそ6割は地場産の「五百万石」や「石川門」を使用。ワイン製造における「テロワール」といった考え方を、日本酒の製造でも体現・実行しようとしています。

酒質を維持する機械を導入

平成19年、同蔵元は香りなどの酒質を維持するために、瓶火入れを自動化するマシン「パストライザー」の導入に踏み切りました。機械化されたことで、純米酒や吟醸酒の瓶火入れが手軽になりました。

二人の蔵元杜氏が醸す「手取川」

出稼ぎの杜氏や蔵人の後継者不足、高齢化問題などを背景に、後継者育成と技術の伝承を図るため、社員の中から杜氏を抜擢。蔵元杜氏として活躍できる場づくりに重きを置いてきました。

現在、ベテラン杜氏・山本輝幸氏が指揮する「山本蔵」と、若手杜氏・吉田行成氏が指揮する「吉田蔵」に酒蔵を二分割し、それぞれの感性で銘酒「手取川」を醸しています。

山廃造りで醸した「手取川」

「山廃仕込 純米酒 手取川」は、酒蔵の中に棲み着いている乳酸菌を利用した昔ながらの手法、「山廃(やまはい)造り」で醸した人気銘柄です。低温発酵仕込みにより、華やかな香りとふくよかなコクを引き出しました。