アイナメの旬

アイナメの旬は、4月〜8月頃です

一般的に産卵(10〜12月頃)前の春から秋頃が旬と言われていますが、晩春から夏にかけてとか、秋から冬にかけてが旬など、餌の多寡や産地によって、食べ頃(旬の時期)が異なるようです。
関東で獲れるものは、晩春、夏から秋が美味しいです。晩秋から冬にかけては産卵期にあたり、身が柔らかくなってしまいますが、三陸ものに限っては冬も美味です。

アイナメの生態

アイナメはカサゴ目アイナメ科アイナメ属に分類されます。同じアイナメ属には、クジメやウサギアイナメなど、アイナメ科ホッケ属には、ホッケ、キタホッケ(シマホッケ)がおり、アイナメ科は脂っぼいのが特徴のようです。

北海道以南の東北から九州にかけて、南西諸島と太平洋側の一部を除く日本各地の沿岸に生息しています。水深1mから30mくらいまでの藻の多い岩礁性の海岸や磯に多く、テトラポットの間などに群を作らず棲息しています。
沿岸の浅瀬の藻場や岩場に住みつき、餌を見れば貪欲にくらいついてくるので、防波堤から比較的簡単に釣れる、釣り好きには格好の魚のようです。

冬場の産卵期になるとオスは鮮やかな黄色の婚姻色となります。この婚姻色は産卵期が終わると消えます。
メスはオスの縄張りである海藻の生えた岩礁や小石の多い綺麗な浅瀬にある、海藻の茎や小石の間に2〜3000粒の卵塊を産み付けるとそのまま去ってしまい、その後孵化するまでのおよそ1ヶ月間は父親であるオスがその卵を保護します。アイナメは、仲間の卵を食べる習性があるので、同じアイナメ同士でも壮絶な戦いをすることもしばしばあるようです。

そうして、全長約20~40cm、最大では65cmほどに成長し、市場に出回ります。
体は紡錘形で体側に5本の側線があります。側線は魚の第六感を司り、レーダー的な役割を持っていますが、アイナメの側線は、側線器官として機能しているのはメインの1本だけで、他の4本は飾りでしかないという研究結果もあるようです。体色は棲息場所によって変化に富んでいて、複雑なまだら模様をしています。

アイナメのさまざまな地方名

標準和名アイナメには、地方によってさまざまな呼び方があります。

アブラコ(油子)、アブラッコ・・北海道
ネウ(根魚)、ネエウオ(根魚)、ネウオ・・東北
アブラメ(油魚・油魚身)・・東北、瀬戸内
シンジョ・・山形、秋田
シジュウ(始終)・・石川、新潟、秋田、京都
モミダネウシナイ(籾種失い)・・山口、愛媛、広島

他にも、アイナ・エエナア・カクゾウ・コツクリ・シンゾウ・モチウオなど・・いろいろな名前で呼ばれています。
それぞれに由来があり、アブラメやアブラコなど、「アブラ」がついているものは、脂がのった魚とか、体表が油を塗ったように滑っているから、とも言われています。また「シジュウ」は、アイナメは始終同じ場所にいるから、という意味だそうです。
「モミダネウシナイ」という名前は、籾種(もみだね)を買うお金をはたいてでも買ってしまうほど旨い魚、としてこう呼ばれているそうです。

「アイナメ」自体にも、さまざまな漢字が当てられ、「鮎並」「鮎魚女」「相嘗」「愛魚女」などがあり、それぞれに由来があります。
鮎魚女・鮎並は、「鮎」のように縄張りを持っていたり、姿が似ているからとも言われています。
相嘗は、産卵期の卵を奪い合う際に、互いの口を噛み合う(相嘗め)ことから、と言われています。
愛魚女は、賞味すべき美味な魚・旨い魚といった意味を持っています。

相馬のアイナメ

アイナメはブランド化されていませんが、福島県相馬市で水揚げされる「相馬のアイナメ」は、特に味が良いと言われています。
地元では、祝い事にはマダイではなくアイナメを使っていたとか。伝統料理として「アイナメの味噌たたき」があります。

エゴイソアイナメ

「ドンコ」と呼ばれるエゴイソアイナメは、アイナメという名がついていますが、アイナメとは別種です。
タラ目チゴダラ科の魚で、スケトウダラやマダラに近い深海魚です。主産地は三陸で、季節の野菜と肝をいれたみそ汁「ドンコ汁」が名物です。

「鬼平犯科帳」平蔵の好物

昔から美味な魚として知られ、人気の時代小説「鬼平犯科帳」にも、主人公・長谷川半蔵の好物として、アイナメを辛目に煮付けたものが登場しています。

アイナメの主な栄養成分

アイナメの身は、高タンパク低脂肪低カロリーであるのが特徴です。
カルシウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、EPA、DHAなどが含まれています。
栄養価が豊富であり、滋養に富むため、病人食としても利用されています。

骨や歯を強く、骨粗しょう症予防にも

アイナメには、カルシウムと、そのカルシウムのサポートをするビタミンDが豊富に含まれています。
カルシウムは人の体内の中でもっとも多いミネラルで、体重の1.5%〜2%を占めると言われています。その99%が骨や歯などの硬い組織に、残りの1%は、血液中や筋肉、神経に存在しています。
カルシウムは、骨や歯の材料となるだけでなく、心臓やすべての筋肉が正常に収縮するのを保つ働きをしています。体の必要なところにすぐ行けるように、血液中に含まれ、全身を巡っています。ですが、日本人にはカルシウムが不足しています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるだけでなく、血中のカルシウムバランスを整えてくれます。血中カルシウムが少なくなると、ビタミンDがが骨からカルシウムを溶かして血液に届けています。

糖質・脂質の代謝を活発に

ビタミンB1は、糖質の代謝と疲労回復に働きます。疲労物質の乳酸や糖質をエネルギーに変える働きをしています。ビタミンB1が不足すると、糖質が上手くエネルギーに変換されなくなり、イライラやストレスを感じたり、食欲不振や疲れやすくなったりします。体内にはほとんど貯蔵されないので食事などで定期的に摂りましょう。
ビタミンB2は、全身の細胞の再生と成長を促進する働きや、糖質・タンパク質・脂質の代謝を促してエネルギーに変える働きがあります。脂肪を燃焼させてくれるので、ダイエットの強い味方でもあります。
また酵素と一緒に働くことで動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効くと考えられています。糖質の代謝を促進する働きもあるので、糖尿病の改善や予防にもなります。
ビタミンB1・B2ともに水に溶けやすいので、加熱する場合は煮汁ごと食べる料理法にするのがベストです。お吸い物などは、加熱時間が短く、汁も美味しく飲めるので、アイナメにぴったりの料理法と言えます。

おいしいアイナメの選び方

鮮度落ちが特に早い魚です。出来れば活け物、そうでなければ活〆されたものを選びましょう。
体色はさまざまですが、色が濃くて模様が色合いがハッキリし褪めていないこと、体表面にぬめりがあって光っていること、目が黒く澄んでいてふっくらとしていること、腹がしっかりしてエラが鮮やかに赤いものを選びましょう。

アイナメの調理のポイント

肉は白身で一見淡白そうですが、意外なほど脂肪分が多く、弾力のある食感が特徴です。
皮はやや厚く少し小骨がありますが、いろいろな料理に使えます。

鮮度の良いものが手に入ったら、ぜひ刺身で食べたいものです。

アイナメの代表料理と言ったら、照り焼きと煮付けです。
他にも塩焼き、唐揚げ、味噌漬け、ホイル焼き、フライ、バター焼き、味噌汁、開き干し、みりん漬け、粕漬けなどにも合います。
アクアパッツァやブイヤベースにもおすすめです。何でも料理できる便利な魚です。

小型のものはウロコと頭を取り除いて唐揚げにすると美味しいです。

料亭などでは、夏の椀だねとしてもよく使われます。
小骨があるので、鱧のように骨切りしたものを使い、薄味に出汁を効かせた中に入れたり、葛餡をかけたりします。