鮑(アワビ)の旬

あわびの旬は5~9月です

漁期は地域によってさまざまで、産卵期を中心に禁漁期を定めたり、10cm以下のものは漁獲を制限したりしています。

アワビと日本人の深いつながり

縄文時代、弥生時代の貝塚などから、アワビの殻が出土しています。当時、すでにアワビを獲って食べていたことがわかります。
江戸時代に著された『本朝食鑑』には、「鰒は介(貝)の長であって、鰒を食べるには、生食、煮食、蒸食、乾食、塩食、糟漬食する方法」があると、アワビの豊富な調理法が記されています。
また、アワビの身を薄くむいて伸し、干してつくる「熨斗鮑(ノシアワビ)
は、長寿をもたらす縁起物として、古来より吉事には欠かせないものでした。
現代でも贈り物にのし袋やのし紙を用いますが、これは熨斗鮑を和紙で包んだ形が今に伝わり、時代とともに簡略化されたものです。

中華三大食材の一つ

中国では干しアワビを「乾鮑(カンパオ)」と呼び、「ツバメの巣」「フカヒレ
とともに、三大食材の一つとして珍重されています。干しアワビは、乾燥させることでアワビの旨みと風味が凝縮され、戻した時により深い味わいが得られます。中国ではその貴重さからお金にも例えられ、「乾貨」とも呼ばれています。
その滋味豊かな独特の味わいは、噛めば噛むほどに「太陽の味が口の中に広がる」と表されるほど味わい深く、代々語り継がれるほどだとか……。
最高級とされる干しアワビは、実は日本で生産されています。江戸時代から中国に輸出され、今に続いています。

100gに成長するまでに1500gの海藻を食べる

卵から孵化した後、4~7日で殻の大きさが0.3mmになり、着底生活に移ります。生息地域によって成長は大きく異なりますが、クロアワビやエゾアワビは、1年で2cm、2年で3~5cm、5年で6~12cmといわれています。結構、長くかかるものなんですね。
ワカメやアラメ、コンブなどの海藻類を、歯舌と呼ばれるヤスリのような咀嚼器官でこそげ取って食べます。一般に、100gのアワビになるまでに、1500gの海藻を食べるそうです。
また、アワビの雌雄の判別は、外見からではほぼ不可能。肝ではなく、生殖腺の色で見分けます。緑のものがメスで、白っぽいものがオスです。
殻の背面に並んでいる数個の穴は、エラ呼吸のために外套腔に吸い込んだ水や排泄物、卵や精子を放出するためのものです。アワビではこの穴が4~5個で、トコブシは6~ 8個の穴が開いています。

アワビの主な栄養成分

コラーゲンたっぷり

美肌、アンチエイジング、肌荒れ、眼精疲労、薄毛などに効果があります。

セレン、セレニウム

ガン抑制、抗酸化作用、アンチエイジング、糖尿病、動脈硬化、免疫力強化などの効果が期待できます。

銅や鉄などのミネラル

免疫力アップや、貧血、薄毛の予防、肝機能強化などの働きがあります。

アルギニン、コンドロイチン

精力増強、美肌効果、老化予防など、若返りのための成分です。

アワビの肝

特に海草の栄養分が凝縮されている場所です。胃潰瘍の特効薬的なジメチルサルファイドという海草の成分が含まれています。
また、視神経の疲労回復にとても効果があります。

干しアワビ

カルシウムが約4倍も増えます。

漢方や薬膳に

アワビは漢方や薬膳の材料としても用いられています。
滋陰益精…体に必要な体内の水分や栄養素を補い、精力増強の効果
滋陰清熱…火照り、不快な微熱や汗、不眠に対する効果
また、韓国のあわび粥は、病中病後の補養食、産後の乳汁分泌を促進する薬膳食です。

おいしいアワビの選び方

口が閉じている、肉厚のものを選びましょう。
殻を裏返して、身が動くものが新鮮です。
小さいほうがやわらかく、大きくなると歯応えがでてきます。

アワビの下ごしらえ&保存のポイント

さばき方

1.あわびの身の部分に塩を振り、手やブラシなどでゴシゴシとこすってぬめりを取ります。
2.ぬめりを取った身は、水で塩を洗い流します。あわびの身と貝の間にしゃもじなどをさしこみ、そぎ取るように貝柱をはずしていきます。
3.身を取り外したら、貝柱の方にヒモがついているので、内臓(ワタ)のほうに向かってはずしていきます。ヒモと内臓は包丁で切りまずしましょう!
4.あわびの口をVの字に切りとります。
5.あわびをきれいに水洗いします。ヒモ、キモは料理にも使用できます。砂を取って使ってください。

冷蔵保存

300ccの水に小さじ2杯(約9グラム)のを加えて食塩水を作ります。新聞紙を塩水に浸し、ヒタヒタの状態にしてアワビを包みます。殻を上にしてボウルに入れます。上からラップなどかけないようにしてください。冷蔵庫の野菜室で保存します。(保存期間:2~3日)

冷凍保存

下処理をして身と肝、縁側を分けて、冷凍保存用袋などに入れて、冷凍保存します。
解凍する際は、1リットルの水に対して大さじ1杯の塩を入れ、ボウルに入れます。その中に、冷凍したアワビを入れて、30分間浸します。(保存期間:1か月)