紅鮭(ベニザケ)の旬

紅鮭の旬は、5月下旬から8月頃です

紅鮭の産卵期は7月〜12月なので、その前に栄養を溜め込む春〜初夏の時期が旬と言えます。

紅鮭の生態

紅鮭は日本の河川には遡上しませんが、サケ属の仲間の中では最も母川回帰性が強く、的確に母川を認識します。

天然の紅鮭が生息できるのは、北緯約50度までです。環境の汚染に非常に弱く、遡るための汚染されない川と、産卵のための湧水のある湖や川がなければ生きられません。
日本では南限を超えているため、天然紅鮭はいっさい遡上していません。日本で捕れる天然鮭は東北や北海道地域の「白鮭」がほとんどです。

紅鮭は北太平洋、ベーリング海、オホーツク海に生息しています。アジアで紅鮭が遡上する川は、南千島からオホーツク海沿岸を経て、アナディル川の河川です。

紅鮭は、途中に湖があり、湖に注ぎ込む川のもっとも上流域で産卵するのが一般的です。また、湖の岸辺で湧水のでる砂利層にも産卵床を作ることがあります。体内卵数は体長によって、約200〜4000個と個体差があります。

体長は4年で60cm。産卵期になると頭を除く体全体が桃色がかった鮮やかな紅色に染まるのでこの名があります。一回産卵・放精すると、力尽きて死んでしまいます。

鮭は一般的に赤みが強いほど美味しいと言われ、紅鮭の肉はサケ属の中でも最も赤みが強くとても美味。銀鮭同様、石狩鍋、あら汁、ちゃんちゃん焼き、塩焼き、お茶漬けなどの料理の用途が幅広いです。

ベニザケ?ベニマス?ヒメマス?

ベニマスは、ベニザケの旧名です。昔、ベニザケはベニマスと呼ばれていたので、今でもベニザケをベニマスと呼ぶ人はいます。
ヒメマスは、ベニザケの陸封型です。サケの仲間のように一生の間に淡水と海の間を往復する魚の中には、同種でありながら海へ下って海洋で育つものと、淡水中で一生を過ごして世代を重ねるものとがありますが、海へは行かず、一生を川で過ごすタイプが陸封型になります。ヒメマスは、全国各地で養殖が行われています。

ヒメマスはアイヌ語で「カバチェッポ」、「カバチェップ」(平たい魚という意味)と言われてきました。今では「チップ」と呼ばれています。支笏湖ではチップ釣りと言っています。

ベニザケ・ヒメマスの養殖

ベニザケは日本の漁業水域ではほとんど水揚げがありません。日本で流通しているのは、主に北洋、アラスカ、カナダなどから輸入されるものです。養殖はまだ確立されておらず、総て天然物です。
北海道道東地域では、平成27年度より、ベニザケを海面養殖する技術開発に取り組んでいます。

ヒメマスはかつて、北海道の阿寒湖とチミケップ湖にしか生存していなかった魚種でしたが、1894年に北海道の支笏湖に移植してから、繁殖に成功し、全国の養殖場に広がりました。(洞爺湖、屈斜路湖、十和田湖、大島池、檜原湖、秋元湖、沼沢沼、中禅寺湖、青木湖、本栖湖、西湖、芦ノ湖など各地60余りの湖に放流)
1967年頃からは試験的に支笏湖産ヒメマスのうち、千歳川に降りる魚を捕らえて、太平洋へ流入する河川に放流すると、1〜3年後にはベニザケとして産卵回帰することは確かめられて、一部の河川ではヒメマスの放流を行っています。

ロシアのサケ・マス流し網漁禁止

2016年1月、「ロシア連邦の200海里水域における流し網漁を禁止する法律」により、サケ・マス流し網漁が禁止されました。

紅鮭は5〜7月にかけて、流し網漁で漁獲されます。
北海道南千島沖(ロシア200海里内)の最高の漁場で漁獲され、船上で処理して塩蔵加工して熟成した紅鮭を、輸入物の紅鮭と比較するため本物の紅鮭「本ちゃん紅」と呼んでいます。日本船が船上で内蔵を除去し、すぐ塩蔵する「本ちゃん紅」は、北海道に帰還するまでの間に旨味を増し、脂ののりも鮮度も、ロシアなど外国船がすぐ冷凍する代物とは違い、「本物中の本物」という意味で質が良い紅鮭です。

北洋で穫れる紅鮭の人気は高く、特に技術力のある日本漁船が船上で塩蔵処理した紅鮭は「本ちゃん紅」と呼ばれブランド化されてきました。「紅鮭特有の香りと身の締りに加えて、脂がのっていておいしい」と贈答品としての需要も多かったのですが、この規制により、高品質の紅鮭は入手困難になってしまいました。

鮭は白身魚

魚の赤身・白身という場合の「赤」はミオグロビンという色素の赤さのことです。ところが、サケやマスの赤い色はアスタキサンチンという色素のせいで、ミオグロビンとは異なります。鮭は小さい時は白身の魚ですが、海の中で食べるプランクトンやエビカニ類、オキアミなどに含まれるカロテノイド色素が沈着していき、身が赤くなっていきます。このため、鮭は本来は白身魚といえるのです。

紅鮭の主な栄養成分

紅鮭には、タンパク質、脂質、アスタキサンチン、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、カルシウム、リン、鉄などが含まれています。

他のサケ・マス類に比べると、タンパク質、EPA、アスタキサンチン、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、カルシウムが多めに含まれています。

強い抗酸化作用を持つアスタキサンチン

紅鮭の特徴である強い赤みは、アスタキサンチンという成分です。紅鮭には、他のサケ・マス類に比べ特に多くのアスタキサンチンが含まれています。
サケは動物ですが、植物プランクトンを食べた甲殻類を餌とするため、植物の力を体内に蓄積しています。このアスタキサンチンが、サケの体内に大量に発生した活性酸素を除去することで、川を遡上するサケの筋肉疲労を解消しているそうです。
人間がサケを食べると、特に目の疲労を軽減するとの報告があります。アスタキサンチンは栄養が届きにくい細部にまで入り込むことが出来る為、目の奥までしっかりと届き、眼精疲労の改善が見込めるようです。

アスタキサンチンは非常に強い抗酸化力があり、同じように抗酸化作用があるとされるビタミンEの1000倍、βカロテンの何倍もの効果があることがわかっています。必要以上に発生した活性酸素を抑制する強力な抗酸化力により、美白、美肌、視力回復の効果や、免疫力を高めたり、アンチエイジングや動脈硬化予防、血流改善とさまざまな力を兼ね備えています。

焼いたり揚げるよりも、煮たり蒸したりした方がアスタキサンチンは約2倍も多く摂れます。

鮭のタンパク質は良質なタンパク質です

タンパク質の栄養価は、必須アミノ酸の人の必要量と比べて判定します(アミノ酸スコア)。アミノ酸スコアの点数が高ければ高い食品ほどアミノ酸をバランス良く含んでいるということになり、サケのタンパク質のアミノ酸スコアはすべて100点満点です。また消化吸収率も99%であることから、良質のタンパク質と言えます。

脂質の健康効果

鮭には不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。
これらの脂肪酸には、中性脂肪を低下させて脂質異常症を予防し、動脈硬化や虚血性心疾患の発症を抑える働きがあります。
”血液サラサラ”な状態にする働きがあり、さらに血管の若返りにも役立ちます。その結果、高血圧の予防にも効果があります。

DHAにはEPAに無い、特有の働きがあります。それは「健脳効果」です。DHAは、脳の神経細胞の膜に入り、情報のやり取りを円滑に保つとともに、情報アンテナの成長を助けています。その為、DHAが脳に豊富にあると、脳の情報ネットワークが充実し、脳の働きがぐんと向上すると言われています。

紅鮭に多い、ビタミンB12とビタミンDの働き

他のサケ・マス類より紅鮭に多く含まれているのが、ビタミンB12とビタミンDです。

ビタミンB12は、葉酸と一緒に血液の細胞である赤血球を合成します。不足すると巨大な赤血球が出来てしまったり、数が減ったりして、悪性の貧血にかかってしまいます。赤血球は全身に酸素を運んでいるので、酸素がないとエネルギーを生み出す効率が悪くなってしまうのです。
また、脳や脊髄にある、全身をコントロールする中枢神経や、全身に張り巡らされた末梢神経が正しく働くようにコントロールしています。不足すると眠れなくなったり、肩こりや腰痛、しびれが起こったりする神経障害の状態になってしまいます。認知症を発症した人の脳にはビタミンB12が少ないことも報告されています。

ビタミンDは、食べ物からカルシウムが吸収されやすくなるように助けたり、骨や歯に届けたりしています。血液にカルシウムが少なくなった時には、ビタミンDが骨からカルシウムを溶かして血液に届けています。その為、ビタミンDの不足は骨の成長に大きな影響を与えます。骨粗しょう症や虫歯にかかりやすくなります。効率よく摂るためには、カルシウムを多く含む食品と一緒に、油で調理したものを食べると良いです。

また、花粉症などのアレルギー各種に効くという報告があったり、免疫力を強化する可能性が高く、風邪予防やガン予防にもいいようです。さらに血中ビタミンDの濃度が高いほど、糖尿病発症のリスクが少ないという報告もあります。

鮭の切身1切れで、ビタミンDの1日の所要量をゆうゆうクリアできます。

おいしい紅鮭の選び方

切り身では、赤みが鮮やかなもので、肉が締まって弾力があり、皮と身が離れていないものを選びましょう。
身に入っている「さし」が多いほうが脂が多く甘みがあります。また、肉の赤い鮭のほうがだいたい脂がのってます。
骨の周りに血がついているものは、血が空気に触れて酸化して周りの身の部分ごと鮮度が落ちている可能性があります。
パックに入っている場合は、ドリップが出ていないものを選びましょう。

冷凍の切り身を購入する時は、表面に霜がかかっているのものがありますが、これは再凍結された時に出来たもので、味が落ちているので避けたほうがいいでしょう。

切り身にする前の魚全体が見れる場合は、頭とウロコに注目です。

頭は小さくて丸みのある方がいいでしょう。川に近づくほど頭が大きくて口が上に反ってイカツイ感じになります。

ウロコがびしっとついているものは特に”メタリック”と呼ばれ、見た目がキラキラして綺麗なのですが、それは身に脂が無い証拠です。所々はげまくってるような、ウロコのあまり付いていないものを選びましょう。

一般的に鮭の切り身には、半月型のものと片方が細いものがあります。部位によって味や形が違い、向いている料理があります。

半月型の切り身は尻尾の部分で、尻尾は泳ぐために筋肉が発達しているので、肉厚でさっぱりしています。

片方が細い切り身はお腹の部分で、細い方には脂が多く、全体的に身も柔らかです。
紅鮭の身の中でももっともアスタキサンチンが豊富なのは、お腹(ハラス)の部分です。

紅鮭の保存のポイント

生鮭は冷蔵して、2日以内に食べきりましょう。3日以上保存する場合は、塩を振っておくか冷凍します。

魚の脂身は、旨味や甘さのもとですが、鮮度が落ちやすい部分でもあります。鮮度が落ちると臭みの原因にもなります。
短時間であれば、固く水気を絞ったぬれ布巾などで、表面の乾燥を防ぎます。
調理まで少し時間のある場合は、鮭の水気をよく拭き取り、固く水気を絞ったぬれ布巾やペーパータオルなどをかけ、冷蔵庫に入れて表面が乾くのを防ぎます。

半日以上置く場合は、鮭の水気を拭き取ってから、ペーパータオルなどの上に切り身を並べ、ラップをして冷蔵庫に入れます。

冷凍の際は、さっと水洗いをし、キッチンペーパー等で水気を取ります。
そのあと、塩を振って身を締め、一切れずつラップに包んで密封し、空気に触れないようにして保存します。
冷凍した鮭は、食べる前日の晩に冷蔵庫に入れて自然乾燥させて下さい。

そのほか調味料に漬け込んでおくのもいいでしょう。
酒・みりん・醤油を同割りにしたつけ地(幽庵地)につけて焼く「幽庵焼き」がお薦めです。漬け込むのは2〜3日以内にして、焼いて食べて下さい。

紅鮭の食べ方と調理のポイント

鮭は頭からしっぽまですべて料理になります。捨てるところのない魚です。

生食で・・

刺身やルイベ、カルパッチョを楽しみましょう。
寄生虫予防のために、冷凍してから利用します。

焼いて・・

紅鮭は身が引き締まって脂ものっているので、焼いて食べるのが1番美味しいです。
鮭ならではの味を1番強く味わうことが出来ます。おにぎりの具としても最適でしょう。

バターとの相性がとてもいいので、ムニエルもいいでしょう。
皮を使わず、小麦粉をまぶしてじっくりとソテーしましょう。

汁物にも・・

みそ汁にもあいます。
アラと内蔵、白子などをいれたみそ汁がとても美味しいです。
濃厚な旨味があり、煮た内蔵なども非常に味がいいです。

加工品も・・

紅鮭はスモークサーモンに加工されることの多い種類です。
そのままスライスして食べるほか、サラダやマリネ、サンドイッチの具としてもいいでしょう。
クリームチーズとの相性もいいです。

鮭の缶詰や市販のフレークなども、紅鮭を使ったものが多いです。
鮭缶は非常に汎用性が高く、どんな料理にも合わせることが出来ます。