ボタンエビ/トヤマエビの旬

ボタンエビ/トヤマエビの旬は、冬から春にかけてです。

基本的に、一年中市場に出回っていますが、生息域が広く、地域によって産卵期や、それに合わせての漁期が違います。だいたい4月から9月の間にすべての地域の産卵が終わるようなので、冬から春にかけてが旬といえそうです。
ただし北陸などのように、ズワイガニの禁漁期に漁獲する地域もあるので、金沢あたりでは3月から夏にかけてが旬となります。
また函館では、春と秋を旬とし、春にはオスのボタンエビ、秋には子持ちボタンエビが楽しめます。
最近は冷凍・輸送技術の発達で、年間を通じて食べられるようになっています。

ボタンエビはボタンエビじゃない?

一般的にボタンエビとして流通しているエビは、実はボタンエビでは無く、近縁種の「トヤマエビ」です。
本来の標準和名「ボタンエビ」とは別種ですが、本種は漁獲量が少なく市場にはあまり出回らないので、比較的多く穫れるトヤマエビが代用され、ボタンエビとして全国に広まっていったようです。

またカナダなどから輸入される「スポットエビ(スポットプラウン)」もボタンエビとして流通しています。
ボタンエビ・トヤマエビ・スポットエビはいずれも同じタラバエビ科タラバエビ属に属する仲間です。

ボタンエビ/トヤマエビの特徴

体長20cmに達する大型のエビです。
トヤマエビの生息域は島根以北からの日本海側、北海道は道東沖の深海100~400mで、タラバエビ属では比較的浅い場所に生息しています。
ボタンエビの生息域は土佐湾から北海道噴火湾までの水深300m〜500mで、日本海にはいません。福島県以南で底曳き網、カゴ漁などでとっていましたが、カゴ漁は禁止され、底曳き網のみで獲っています。

見分けるポイントは、色の違いです。ボタンエビは漢字で「牡丹海老」と書き、その名前の由来のように、体色が牡丹の花のように赤く、鮮度が良ければ良いほど赤みが強いです。死んで時間が経つと黄色っぽい色に変色していき、最後には白っぽく退色します。濃い朱色の斑紋があります。
トヤマエビは明るく透明感のある朱色に赤褐色の縞模様があります。そして胸部(頭部)に白い斑紋があるのが特徴です。鮮度が落ちてくると頭が黒くなり、濁ったように白っぽくなります。

主な産地

トヤマエビは、日本海側の丹後あたりから北陸、北海道にかけて水揚げがあり、北に行くほど水揚げ量が増えます。北海道では日本海側だけでなく、噴火湾や釧路沿岸でも水揚げがあり、全体の多くを占めています。

ボタンエビの本種は、日本海側には見られず、太平洋側のみで底曳き網漁で水揚げされています。代表的な産地は駿河湾、銚子沖、鹿児島県などです。漁獲量が少ないため希少価値が高く、生で食べるエビ類(主にタラバエビ科)ではもっとも高価なもののひとつです。そのほとんどが高級寿司店や料亭などに卸されています。

成長過程で、オスからメスへ性転換します

ボタンエビ/トヤマエビは成長の過程で性転換を行います。
生まれた当初は全て、オスでもメスでもない状態で、まずはオスとして成長を始めます。4年目から5年目にかけて全てメスとなり、5年目前後で産卵を行います。卵はどこかに産み付けるわけでなく、そのまま一年近く抱卵状態となります。メスに転換したエビは、その後オスに戻ることは無く、何度か産卵を繰り返し、寿命はおよそ8年ほどとみられています。

ボタンエビ/トヤマエビの主な栄養成分

ボタンエビ/トヤマエビには、タンパク質、ビタミンE、亜鉛、タウリン、アスタキサンチン、キチン・キトサンなどが含まれています。
脂質が魚介類の中では非常に少なく、高タンパク質で低カロリーな食材といえます。

老化防止にビタミンE

ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンで、様々な害を与える活性酸素から身体を守る効果があります。その為、効果や生活習慣病の予防効果が期待されている栄養素です。

肝機能を高めるタウリン

タウリンは含硫アミノ酸の一種で、主に魚介類に多く含まれている成分です。摂取することで、肝臓の機能を強化させ、代謝や解毒、胆汁の生成を助ける働きをします。
生体中のほとんどすべての組織に存在していて、動脈硬化や糖尿病、心不全などの生活習慣病に対して、効果が高いことでも知られています。また、疲労回復、視力回復にも有効とされています。

脳を活性酸素から守る成分、アスタキサンチン

アスタキサンチンは、サケやイクラ、カニ、エビ、マダイなどに多く含まれる強力な抗酸化力を持つ赤色の天然色素です。アスタキサンチンの持つ抗酸化力は、ビタミンEの約1000倍にもなると言われており、免疫力を高めたり、アンチエイジングや動脈硬化予防、血流改善など様々な力を兼ね備えています。
栄養が届きにくい細部にまで入り込むことが出来るため、目の奥まで届くことが出来ます。その為、視力回復や眼精疲労の改善などが期待できます。
脳にまで入り込むことができる数少ない成分なので、脳の衰えを防ぐ効果や、脳疾患予防への期待が高まっています。

肥満予防に、キチン・キトサン

キチン・キトサンは、カニの甲羅やエビの殻などに含まれる動物性の食物繊維です。
腸内でコレステロールや脂肪、毒素を吸着し、体の外へ排出する働きがあるので、余分な脂肪の蓄積を防ぐことが出来る、肥満を予防する効果が期待できます。また、高血圧の原因となる塩分も排出してくれるので、血圧の上昇を防ぐ効果もあります。

おいしいボタンエビ/トヤマエビの選び方

エビは鮮度落ちが早いです。時間が経つにつれ、黄色や白っぽく退色していくので、赤みが強く、鮮やかで透明感があり、頭や尾が黒く変色していないものが新鮮さの目安になります。
しっかりと身がついていて、殻が浮いていないものを選びましょう。

ボタンエビ/トヤマエビの保存のポイント

鮮度が落ちやすいので、生で食べる時は早めに食べきって下さい。
冷凍品はカチカチに凍ったものを選び、そのまま冷凍庫に保存し、4〜5日以内に食べきって下さい。
冷凍、解凍を繰り返してしまうと、生臭くなります。

冷凍品の解凍ポイント

前日から冷蔵庫へ入れて自然解凍をすると、食べる頃にはせっかくのエビの食感が失われてしまいます。
食べる直前にボールなどに入れて、流水に5分ほどさらし、急速解凍をして下さい。これでプリプリな食感を失うこと無く、お刺身としても美味しくいただくことが出来ます。ただあまり流水にさらしてしまうと味も流れていってしまうので、注意して下さい。

ボタンエビ/トヤマエビの調理法

お刺身やお寿司

ボタンエビ/トヤマエビは、エビの生食としては別格にあります。甘みがたっぷりで、適度な食感と濃厚な旨味があります。漁獲量が甘エビ(ホッコクアカエビ)に比べて少なく、そのおいしさから、甘エビの何倍もの値がつきますので高級寿司ネタとしても人気があります。
抱卵してる場合は、その青い卵も生でいただくことが出来ます。わさび醤油でどうぞ。

しゃぶしゃぶ

昆布とエビの頭で出汁をとり、軽く熱を通して食べます。甘みだけでなく、エビらしいプリッとした食感や旨味を感じることが出来ます。ボイルしてしまうと甘みが消えてしまうので、軽く半生くらいで食べましょう。

焼きもの

塩を振り、強火で焼き上げます。エビの風味が立ち、身の甘みと食感がとても美味です。
また普通のエビ料理と同じような炒め物にも使え、バターなどとの相性も良いです。
熱を通すことで甘みとエビの風味が強まります。

天ぷらやフライ

比較的大型で、身質がしっかりしているので、揚げ物にも向いています。
頭の部分も素揚げにすると、香ばしくてお酒のおつまみに最適です。

味噌汁

刺身などにした後の頭部や殻を軽く素焼きし、沸騰した水にいれて、数分煮込みます。エビの甘みと濃厚でコクのある旨味が出て、美味しい味噌汁になります。殻に含まれる栄養成分も摂取することが出来ます。