唐辛子の旬

青唐辛子の旬は7〜9月、熟した赤唐辛子の旬は8〜10月頃になります

日本では鷹の爪や一味、七味など乾燥させた形で使われることが多く、輸入されたものが大半ですが、生の唐辛子の収穫時期はおよそ夏〜秋頃になります。

唐辛子にはさまざまな品種がありますが、大きく分けて辛み種と甘み種があります。
このページでは主に、辛み種を取り上げていきます。

甘み種と辛み種

唐辛子には、辛みがあり主に香辛料として使われる辛み種と、辛みがないかほとんど無い代わりに糖度が高く、主に野菜として食される甘唐辛子(甘み種)があります。

辛み種には、鷹の爪やハラペーニョ、タバスコペッパー、ハバネロ、ブート・ジョロキア、島とうがらし、韓国唐辛子などがあります。

甘み種で代表的なのは、ししとう(ししとうがらし)や、万願寺とうがらし、伏見とうがらしなどがあります。ピーマンパプリカなどもアメリカではスウィートペッパーと呼ばれ、辛くない唐辛子というくくりになっています。

万願寺とうがらし・・京都府舞鶴市万願寺地区発祥の京野菜。京都で古くから栽培されている伏見系の唐辛子と、ピーマンの仲間であるカリフォルニア・ワンダー系の唐辛子を交配して誕生したと言われています。ししとうより長めで15cmくらい。果肉は厚みがあり、柔らかくて甘みがあり、種が少なく食べやすいのが特徴です。

伏見とうがらし・・正式名は「伏見甘長とうがらし」。江戸時代から京都伏見地区で栽培され、現在は京都全域で栽培されている京都の伝統野菜です。味や栄養は、ししとうがらしとほとんど変わらないです。関西では「青とう」と呼ばれることもあります。

ししとうやパプリカなどの甘み種の中には、まれに辛いものも混ざっていることがあるので、注意してください。

唐辛子の歴史

唐辛子とピーマンは同一種で熱帯アメリカ原産です。メキシコやペルーでは古くから食用にされていましたが、ヨーロッパへは、コロンブスが1943年に伝えたとされています。

辛み種の唐辛子が日本に入ってきたのは16世紀で、ポルトガル人の宣教師が持ち込んだと言われています。また中国から朝鮮半島に伝わり、豊臣秀吉の朝鮮侵攻の際に半島から持ち帰ったという記録も伝えられています。

唐辛子の一大消費地の一つである朝鮮半島へは、豊臣秀吉の朝鮮侵攻の歳、秀吉の軍勢が持ち込んだという説もあります。17世紀初頭に書かれた朝鮮半島の文献には「日本から伝わったので ”倭芥子” (にほんのからし)という」と唐辛子についての記述があるそうです。

唐辛子の種類

唐辛子はナス科トウガラシ属の草木になる実の総称で、甘み種から辛み種まで世界には様々あり、およそ3000種類以上あるそうです。

・葉唐辛子・・辛みのある唐辛子の葉で、昔から漬け物やゆでてつくだ煮などに利用されてきました。唐辛子特有のピリッとした辛みと香りがきいています。

・青唐辛子・・唐辛子の未熟果で、さやは細長く、10〜15cmの長さです。種類により緑色に濃淡があり、一般に色が濃いものほど辛味が強いです。

・赤唐辛子(レッドペッパー)・・未熟果が青唐辛子として収穫された後、およそ1ヶ月すると畑の唐辛子が完熟します。これを乾燥させて香辛料として使います。その代表格が ”鷹の爪” で、日本の品種では辛味が強いほうで、香りもいいです。乾燥させて粉末にした赤唐辛子は一味唐辛子と呼ばれます。七味唐辛子は、一味唐辛子をベースに、陳皮・ごま・芥子(けしの実)・麻(アサの実)・山椒・菜種などをくわえたもの。(生産者によって混ぜる原料は様々)

・鷹の爪・・唐辛子の品種の一つです。上向きに実を付けるのが特徴です。この様子が「鷹」の爪の部分に似ていることから名付けられました。

・島とうがらし・・唐辛子の一品種で、南西諸島で栽培されています。果実は小さめで3cmほどですが、辛いが強いです。島とうがらしを泡盛に漬け込んだ沖縄の調味料コーレーグスが有名。

・韓国唐辛子・・韓国種の唐辛子は、辛さの中にも独特の甘さと旨味があるのが特徴です。日本の唐辛子に比べて、辛さはマイルドです。

・ハラペーニョ・・メキシコ原産の青唐辛子です。酢漬けなどにして市販されていますが、生で食べることも出来ます。ハラペーニョソースも有名です。辛さの中にほのかな甘さがあるのが特徴です。

・タバスコペッパー・・名前の通り、辛味調味料のタバスコソースの原料になっている唐辛子です。メキシコのタバスコ州原産。実は果肉が厚くて丸みがあるのが特徴です。

・ハバネロ・・丸型で小型のピーマンのような形をしています。赤やオレンジ、黄色、ピンク、白色の実があります。とても辛い品種で、猛烈な辛さの中にフルーティな香りがあるのが特徴です。近年まで世界一辛い唐辛子としてギネスに記録されていましたが、2006年以降は、次々に辛い品種が出ています。日本ではお菓子に使われて有名になりました。

・ブート・ジョロキア・・2007年2月にハバネロを抜いて世界一辛い唐辛子としてギネス認定された唐辛子です。果肉の表面に細かい凹凸があるためにザラザラしているのが特徴です。こちらも日本でお菓子に使用されました。ピクルスの香辛料やサルサソースなどに使われます。強烈なカプサイシンを含んでいるので、マスクやゴーグルをしての調理が推奨されています。

・キャロライナ・リーパー・・カロライナの死神という名前を持ち、2013年11月に「世界一辛い唐辛子」としてギネス記録を更新した唐辛子です。口に入れて最初に感じるのは甘さ。しかし突如として「辛さ」の爆発が起こり、炎が燃え上がるそうです。調理の際には防護服を着なければならないほど刺激が強い品種です。
しかし、2017年5月には、「Dragon’s Breath chile」というキャロライナ・リーパーを上回る唐辛子が発表されました。しかしあまりに辛すぎて死に至る危険があるため、医療での活用が考えられているそうです。

唐辛子の主な栄養成分

強烈な辛みのもとであるカプサイシン、カプシエイト、βカロテン、ビタミンC、ビタミンEなどが多く含まれていますが、食べる量はわずかなので、栄養素の効果はあまり期待できません。ただし、カプサイシンは少量でも様々な効果が期待できます。
また、青唐辛子より、完熟した赤い唐辛子になると栄養価や辛味がアップします。

カプサイシンとカプシエイトの効果

唐辛子のカプサイシンは種子のつく胎座にもっとも多く、果皮にも多めに含まれています。
ちなみに、種にはカプサイシンは含まれていないので、種自体は辛くはありません。

食欲増進、血液の循環促進、殺菌作用もあります。食べると交感神経が刺激され、運動した時と同じく熱エネルギーが発生します。体が汗ばむほど温まれば、冷えやむくみ、肩こりも改善、疲労回復に役立ち、ダイエットにも効果を発揮します。新陳代謝を活発にして血流を良くし、脂質の分解を促進するホルモンの分泌を高める働きがあります。皮下脂肪や内臓脂肪の燃焼を活発にするためにダイエットにも有効です。ただし、胃を荒らすので食べ過ぎは控えましょう。

脂質の酸化を防ぐβカロテンやカプサンチン、ビタミンCは、カプサイシンとともに働いて血中コレステロールを減らし、血液をきれいにして、動脈硬化や血栓の予防に役立ちます。

さらに近年、唐辛子から新たに「カプシエイト」という辛みの無い成分が発見されました。構造はカプサイシンと類似していますが、辛さはカプサイシンの1000分の1です。脂肪燃焼や体温上昇効果、エネルギー代謝を高める効果があるのは同じです。胃腸への刺激が少なく、血圧に影響も与えません。

辛味や刺激が強いと体に多量には入れられませんが、このカプシエイトならば容易に添加することが可能なので、さまざまな応用に期待が寄せられています。

おいしい唐辛子の選び方

全体にしっかりと色付き、鮮やかでツヤと張りがあるものが良いです。硬く乾いたものは古くなっています。
軸の切り口がまだ新しく、茶色く変色したり干からびたりしていないかを確かめましょう。

唐辛子の保存のポイント

生の唐辛子は、乾燥しないように袋にいれ、冷蔵庫の野菜室に入れておきます。1週間ほどは持ちますが、早めに調理や加工をしましょう。
冷凍する場合は、ラップに包みましょう。真空パックに入れて冷凍すれば、1年程度はもちます。

乾燥させて密閉容器に入れても保存できます。その際は、しっかり乾燥させないと、カビが発生したり変色するので注意しましょう。
乾燥のさせ方は、枝付きのものは枝ごと天日に干すだけです。カラカラになれば出来上がりです。
ただし、ハラペーニョなど青いとうがらしは乾燥には向いていません。

唐辛子の使い方・調理法

唐辛子は、料理の味にメリハリを付ける辛味があります。唐辛子の辛味は、熱に強く、炒めたり煮込んだりしても辛さは残るので、炒め物やパスタ、漬け物、鍋物など幅広く使われています。
また、刺激のある辛味で、塩分などを控えることができるので、高血圧予防の料理などにも役立ちます。

乾燥した唐辛子は、ぬるま湯につけて戻すと調理が簡単になります

生の唐辛子は、オリーブオイルにつけておくと、ペペロンチーノなどの料理を作るのに役立ち、ごま油につけておくとラー油になります。

強い辛味がほしい時には、細かい粉末状のものを使いましょう

ピリッとした刺激が少し欲しい場合には、あらびきのものや、鷹の爪をはさみで切ったものを使います。
ソースなどを作る場合には、生のものをすりつぶして使うと良いでしょう。
種が一番辛いというのは間違いで、種自体には辛味成分は存在していません。

炒める際などには、赤唐辛子を焦がしてしまうと苦味が出てしまうので、注意しましょう。

辛味のある青唐辛子は、そのまま食べることも多いですが、爽やかな辛さを活かし、加工して調味料としても使われています

九州から山陰地方の特産品である「柚子胡椒」は、青唐辛子と青柚子の皮をすりあわせ、塩を加えたものです。
山椒の実とすりあわせたものは「山椒唐辛子」、味噌や酒、みりんなどと練り合わせたものは「南蛮味噌」と呼ばれ、薬味や御飯のお供として使われます。

もし生の新鮮な青唐辛子が手に入ったら、「青唐辛子味噌」をおすすめします

<材料>
青唐辛子 40本程度
にんにく 大1かけら
味噌 400〜500グラム
<作り方>
①生の青唐辛子を細かくカットします。大きさは、幅1〜2mm程度。
 カットする際には、ビニール手袋や軍手を使ってください。青唐辛子の汁に刺激成分が含まれています。
 また、刺激に弱い方は、マスクやメガネなども用意してください。
②全てをカットし終えたら、その上ににんにくをすりおろして、味噌と混ぜます。
③出来上がりです。

作ったその日から食べられますが、寝かせても味が染みて美味しいです。
きゅうりや焼き茄子に添えたり、焼いたお肉、また鍋物にも合いますので、試してみてください。