えごまの旬

えごまの葉の収穫時期は、6〜8月です。秋になり、葉が枯れ始めると種の収穫時期になります

近年、その健康効果から注目度の高い食品となった「えごま油」。
でもすごいのは油だけではありません!えごまの葉にも、高い健康・美容効果があります。
ここでは、えごまの葉・実(種子)・油を取り上げます。

えごまとは

えごまは、大葉などと同じシソ科の一年草です。大葉とよく似た葉を持つ植物です。
韓国では、葉を食す文化があり、サムギョプサルなど肉料理と一緒に食べたり、えごまの葉のキムチ漬けが有名です。
日本でも焼肉店などで、サンチュとともに肉を包む野菜として提供されることが多くなっているので、えごまの葉を知らない、と思っていても、食べたことはあるかもしれません。

えごまの種子は、食用として今でも飛騨地方で、すりつぶして五平餅のタレに使われるなど、伝統食として使用されています。
飛騨地方ではえごまのことを「あぶらえ」と呼び、福島地方では「食べると10年長生きできる」という意味で「じゅうねん」や「じゅうね」、「じゅうねんそう」と呼ばれています。

えごまの種子から取った油「えごま油」は、その昔は灯明油に、また傘に使う防水など塗装用の油として、人々の暮らしで利用されてきました。現在では食用として使われています。

えごまの歴史

えごまの原産地は、インドや中国雲南省の高地とされています。
日本にも古くから伝わり、福井県や長野県の1万年〜5500年前の遺跡数か所で栽培されていた痕跡が見つかっていることから、縄文時代から、日本各地で栽培されてきたものと考えられています。えごまは日本最古の油脂植物と言えるでしょう。
えごまが日本で食用油として使われるようになったのは、平安時代初期だと言われています。鎌倉時代から徳川中期まで利用されていましたが、江戸時代後期には安価で生産効率の良い菜種油に取って代わられました。

「えごま」と「ごま」

「えごま」と「ごま」は、どちらも種子を炒ってすりつぶし、薬味や味噌にしたり、搾って油が作られたりと、同様な方法で食されていますが、両者は全く違う植物です。

えごまはシソ科の植物です。漢字で「荏胡麻」と書きますが、種子がごまの実と似ているところから名づけられたようです。ちなみに、えごまの「え(荏)」は、えごまの古名になります。
全体的には大葉に似ています。学名も「Perilla frutescens」で、「しそ」を意味する「Perilla」が使われています。

日本に昔からある「シソ油」の原料は、このえごまです。紫蘇からとれる植物油をイメージしてしまいますが、紫蘇には油分が0.2%しかなく、実際にはシソ科のえごまの種子が使われているそうです。

一方「ごま」はゴマ科の植物なので、植物学的な違いが有ります。

食用油の中でも圧倒的なα-リノレン酸の含有量を誇り、認知症や心筋梗塞の予防やうつ病の改善など、脳・心臓を守る油として注目を集める「えごま油」ですが、一方の「ごま油」にも、優れた特徴があります。

コレステロール値を下げるのに有効な、オレイン酸やリノール酸を4割ずつ含んでいます。また、セサモリンやセサミンなど、強い抗酸化物質を多く含み、肝機能強化、免疫力の向上、ガン予防などに有効な働きをします。この抗酸化物質の働きによって、他の植物油に比べ、酸化されにくいという特徴があります。

えごまの香り成分の毒性

えごまの葉などにはペリラケトンやエゴマケトンなどの香り成分が含まれ、たくさん食べすぎると、反芻動物に対しては毒性が出るとされていますが、人に対しては問題ないようです。

この香り成分は、肉や魚の臭みを消す働きや、大葉と同じように防腐作用があり、食中毒の予防に有効である、と言われています。

日本ではえごま特有の「ペリラケトン」の香りを不快と感じる人が多く、そのため、なかなか一般に普及しなかったとされています。

えごまの主な栄養成分

えごま油(えごまの種子)の効果・効能と栄養成分

・えごま油のおもな効果・効能
①血流改善・動脈硬化の予防
②コレステロールの低減
③脳の神経細胞の活性化
④うつ病の予防と改善
⑤アレルギー症状の緩和
⑥高血圧・糖尿病の予防・改善
⑦アンチエイジング・美肌効果
⑧ガン予防

えごま油が注目されるきっかけとなったのが「α-リノレン酸」という成分の健康効果です。上記の効果・効能のほとんどが「α-リノレン酸」の働きによるものです。
α-リノレン酸は、体内で合成されないので、食事によって摂取するしか無く、体内でEPAやDHAに作り変えられます。魚油に多く見られる成分のため、えごまは「畑の青魚」と言われています。
他に、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、タンパク質等も豊富に含まれ、ポリフェノールやフラボン(ロスマリン酸、ルテオリン、クリソエリオール、ケルセチンなど)といった成分も含まれています。

アレルギーを緩和させる働きや血栓を防ぐ働きが医学的にも注目され、一部の医療機関で、アレルギー疾患の患者などに、えごま油を取り入れた食生活が指導されているそうです。

α-リノレン酸の健康効果

不飽和脂肪酸のうち、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)とオメガ6脂肪酸(リノール酸)は 「必須脂肪酸」 といわれています。この2つの必須脂肪酸は、体内で作ることができないため、食品から摂取する必要があります。食事でどちらもバランスよく摂ることが大切です。
しかし、現代の食生活では、オメガ6脂肪酸が過剰摂取の状態にあり、オメガ3脂肪酸が不足しています。
近年、この2つの必須脂肪酸のバランスが崩れたことが、アレルギー疾患や生活習慣病の原因の1つで有ることが報告されました。
そこで注目されたのが、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を豊富に含む「えごま油」や「アマニ(亜麻仁)油」です。植物油の主成分でオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸を60%近くも多く含んでいるのは「アマニ(亜麻仁)油」とこの「えごま油」だけです。

α-リノレン酸は動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中など生活習慣病のリスクを低減します。α-リノレン酸から生産されるEPAやDHAにより、プロスタグランジンという物質が作られ、血液がどろどろになるのを防ぎます。
また花粉症やアトピーなどのアレルギー反応を抑制する働きや、体脂肪の燃焼を助ける効果もあります。

ルテオリンとロスマリン酸

えごま油に含まれるルテオリンには、強い抗炎症作用が期待されていて、アレルギー疾患や脳炎症を抑える効果があるほか、老化の原因になる活性酸素を抑えるといった抗酸化性も含まれています。

ロスマリン酸には、アレルギー症状を抑える作用があります。これは抗酸化作用によるものです。
最近注目されているのは糖の消化を妨げる作用です。ロスマリン酸は、麦芽糖をブドウ糖に分解する酵素、マルターゼの活性を抑え、ブドウ糖に変化させないようにします。この作用により、麦芽糖は体内に蓄積されることなく排泄されるので、体内の糖分吸収を減らすことができるのです。

また、2006年には金沢大のグループによって、ロスマリン酸等のポリフェノールがアルツハイマー病をはじめとする認知症予防効果をもつ可能性があることが明らかにされました。

えごまの葉の栄養成分

えごまの葉にはβカロテン(ビタミンA)やビタミンCの他、ビタミンEも豊富です。これら「ビタミンACE」は、抗酸化作用が高く、美容ビタミン・若返りビタミンと呼ばれています。抗酸化作用が効くのは美容だけでなく、細胞の老化予防や、動脈硬化を抑え、生活習慣病予防にも役立ちます。
その他、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、ポリフェノール、クロロフィルなどが含まれています。

えごまの選び方と保存方法

えごまの葉

緑が鮮やかで、みずみずしいものが新鮮です。
茶色い部分があるものや、しなびているものは避けましょう。

大葉と同じように、えごまの葉も乾燥に弱いので、保存する際には、湿らせたキッチンペーパーなどでくるんでから保存袋に入れておくか、葉の束をそのまま立てて入れられる容器に水を入れ、軸が水に浸るようにして保存します。
温度が低くなりすぎると黒くなってしまうので、野菜室などに入れておきましょう。1〜2週間ほど持ちます。

えごまの実

えごまの実は、搾ることで「えごま油」になりますが、えごまの実のままでも美味しく食べることが出来ます。
えごま油は酸化しやすいですが、実の状態であれば、2年程度の保存が可能です。ただし食用と考えると、時間経過とともに風味が落ちてしまうので、なるべく早めに食べたほうがいいでしょう。長期保存する場合には、冷凍することが出来ます。

えごま油

えごま油は、熱・空気・光にとても弱い性質を持っています。ですので、購入時にはなるべく遮光瓶や箱入りのものを選ぶ方がいいでしょう。
保存は、冷蔵庫が適しています。日光の当たる場所や、気温の高くなる場所は避けてください。

えごま油は熱に弱いですが、抽出時の焙煎に関しては、種子の焙煎前後でのビタミン、ポリフェノール、脂質含量の変化を比較した結果、どれも焙煎前の値が保持されており、これらの成分は焙煎の影響を受けないということが明らかになっていますので、高温や低温など、さほど気にすることはないでしょう。

えごまの摂取方法

えごまの葉

えごまの葉には、大葉とも違う、独特の風味があります。
韓国料理では、焼肉を包んで食べたり、葉の形のまま醤油漬けやキムチにして、ご飯を包んで食べたりします。

えごまの実

えごまの実はそのまま食べられますが、注意点があります。

① 実の部分は消化されにくいのでよく噛むこと
 そのまま食べるとプチプチとした食感が楽しめますが、殻の部分は消化されにくいため、噛まずに飲み込むと胃で消化されずそのまま排出されてしまいます。よく噛むことで、栄養分が吸収でき、実に含まれる油分が出てきて香ばしい味が楽しめます。

②煎ると美味しくなるが、煎りすぎると栄養分が破壊されてしまう
 えごまの実は煎ることで風味が増します。
 えごまを煎る場合は、弱火で行い、2,3粒パチパチッと音がしたらすぐ火から下ろしましょう。

えごまの実を、すり鉢ですって食べるのもおすすめです。
液体の油よりも低カロリーで、味やコクがあり、栄養分も効率よく摂取できます。生のままでも煎ってからでもいいでしょう。
茹でた野菜やご飯にかけたり、味噌やみりんと一緒に練って、練りごまとしても楽しめます。

えごま油

オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)の食事摂取基準は、成人男性で2.0〜2.4g以上、成人女性は1.6〜2.0gとされています。
えごま油小さじ1で、約2gのオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を摂取することが出来ます。

熱に弱いので、炒め物や熱するものには使わず、サラダやドレッシング、納豆や卵かけご飯などに使ったり、そのまま飲んだりしても大丈夫です。また、味噌汁に入れるなどは、直接加熱しないのと、すぐに食べるので成分への影響はほとんどありません。

「180℃、 70分までの短時間加熱では、ダイズ油に比べてエゴマ油の劣化は若干進んでいたが、α-リノレン酸の残存率も90%以上であり、栄養的にも食品衛生上も支障があるほどではなかった。」という研究結果もありますので、炒め物の仕上げに入れる程度であれば大丈夫です。