フグの旬

フグの旬は、11~2月です

特に産卵期前の2月頃には、身も白子も充実していて絶品です。

日本人とフグの深い関係

およそ2000年前の縄文時代の貝塚から、フグの骨が発見されています。古くから身近だったフグですが、戦国時代、豊臣秀吉によって「河豚食用禁止の令」が出されます。朝鮮出兵の文禄慶長の役(1592~98年)の際、佐賀県唐津に集結した兵士たちの中に、フグによる中毒が続出したためです。
その後、江戸時代になっても、各藩が食用禁止とし、取り締まりをしました。当主がフグ毒で死んだ場合には、「主家に捧げなければならない命を己の食い意地で落とした輩」とされ、家名断絶の厳しい処分がなされました。
とはいえ、一般庶民の間では、フグはあいかわらず食べられていたようです。特に、元禄、文化文政の時代になると、武士階級にも広くフグ食文化が広まっていきました。
フグに「てっぽう」という呼び名があります。「当たると死ぬ」という意味からつけられた呼び名で、江戸時代から関東のほうで使われていた隠語です。「てっぽう」から、刺身を「てっさ」、ちり鍋を「てっちり」と呼びます。「今日は冷えるからふぐ鍋でも食うか」とは大声でいえないため、「てっちりでも食うか」といっていたようです。
明治政府も、1882(明治15)年にフグを食べた者を拘置・科料に処する法令を出しましたが、初代総理大臣の伊藤博文が下関の春帆楼(しゅんぱんろう)へ立ち寄ったとき、あいにくの時化で出せる魚がなく、女将が仕置きを覚悟の上でフグ料理を出したところ、その味にいたく感激しました。そして「こんなに美味しい魚を食べられないのは勿体ない」と言って、山口県と福岡県に限って解禁したそうです。
こうしてフグ食の文化は山口県を中心に全国で復活し、今日に至っています。

フグの鳴き声?

漢字で「河豚」と書きます。「河」は、中国で食用とされるメフグが河川など淡水域に生息する種であるためです。「豚」の文字は、フグが釣り上げられたときなど、身の危険を感じると威嚇のためにブーブーという鳴き声をあげます。 これが豚の鳴き声に似ているためです。ちなみに中国語でも「河豚」という表記を使っています。

危険がいっぱい、フグの素人料理

フグ中毒の原因物質であるフグ毒は、テトロドトキシンと呼ばれるものです。その強さは青酸カリの1,000倍以上ともいわれる猛毒です。加熱処理によっても壊れません。
フグの毒性は、フグの種類や部位、獲れた場所によって大きく異なります。また、季節によって毒力が大きく変化したり、無毒のものが有毒になったりします。個体差もあり、同じ種類、同じ時期、同じ海域で獲れたフグでも、その毒力に大きな違いがあります。
そこがフグ調理の難しいところで、食用にするためには専門的な知識と技術が必要です。素人が生半可な知識でフグを調理したことによる食中毒は、後を絶ちません。
解毒方法はみつかっておらず、フグ毒については未だ解明されていない部分が多いのが実情です。

フグの主な栄養成分

高タンパク低カロリー

高タンパクで低カロリー、とてもヘルシーな食材です。
しかも、フグのタンパク質には旨み成分であるアミノ酸が一般の白身魚より多く含まれています。そのため、刺身も甘みとコクがあっておいしく、ちり鍋は出汁を使わなくても十分に旨みが出るのです。
フグに含まれるアミノ酸は、グルタミン酸、イノシン酸、グリシン、リジン、タウリンなど。タウリンは、血管や心肺機能を強化し、動脈硬化や高血圧の予防に効果があります。
グリシンとの相乗効果で、さらに血中コレステロールを下げる働きがあります。

コラーゲンの宝庫

フグの皮などはほとんどがゼラチン質。これは良質なコラーゲンの宝庫です。コラーゲンは、肌に潤いを与えたり、骨の中ではカルシウムやリンの「つなぎ」のような働きをし、骨を強くしなやかに保ちます。水晶体や角膜などもコラーゲンによってハリを保っています。コラーゲンをたっぷり摂ることで、老眼などの予防も期待できます。

セレンなどのミネラルやビタミン

背中の黒い部分に含まれているセレンには、抗ガン作用や免疫機能を高めたり、抗酸化の働きがあります。そのほか、カリウムなどのミネラルや、ビタミンD、ナイアシンなどのビタミンが含まれています。