帆立貝/ホタテガイの旬

帆立貝は、一年を通して美味しくいただけます

帆立貝は養殖技術と冷凍技術がともに発達しているため、年間を通して出回っています。養殖ものも餌は海水からとるので、養殖ものも天然ものも、味や栄養価は変わりません。

帆立貝の旬には諸説あり、産地や天然・養殖によって、旬となる時期は様々ですが、旨味が強くなる初夏と、産卵を控えて栄養を蓄える冬と言われています。
産卵前の冬の時期は、一番身が厚く引き締まっており、最も美味しい時期と言われています。6〜8月は貝毒を持ちやすくなりますが、春先の産卵が終わり、最も栄養豊富なプランクトンを食べ、貝柱が最も大きく美味しくなる時期とも言われています。子持ちのボイルホタテも人気がありますが、旬は2〜3月頃です。

帆立貝の名前の由来

貝殻の片方を、船の帆のように立てて海面を移動すると考えられていたことから「帆立」と呼ばれるようになったそうです。

江戸時代の百科事典とも言うべき「和漢三才図会」によると、「その殻、上の一片は扁くして蓋のごとく、あかがい、はまぐりの輩と同じからず、大なるもの径1〜2尺、数百群行し、口を開いて一の殻は船のごとく、一の殻は帆のごとくにし、風に乗って走る。故に帆立蛤と名づく。」とあります。「ほたてがいは、殻を帆のように立て、風を受け海面を走り回る。だから帆立蛤との名がついた」という意味ですが、かなり長い間信じられていたようです。

実際には、海底生活動物で海面に出ることはありません。移動は、巨大な貝柱の強い力で殻を開閉し、勢い良く背から海水を吐いて、飛ぶように素早く移動します。

帆立貝の生態

東北から千島の太平洋岸および日本海に分布し、水深10〜50mほどの、波が静かで水がきれいな砂地や小石の海底に生息する寒海性の二枚貝です。二枚貝は普通2つの貝柱を持っていますが、帆立貝には1つしかありません。生まれた直後は2つの貝柱を持っていますが、成長につれて一方が退化し、もう一方が中央に移って大きくなります。

殻は、上が赤褐色で平らに近く、下が灰白色で膨らみ、中央に大きくて良く発達した貝柱(閉殻筋)が1つあるものを主に食用します。
生まれたては全てオスで、2年ほどでその半分が性転換しメスになります。貝柱の下側に見える生殖巣がオレンジのものはメス、白いのがオスです。

●帆立貝の産地

北日本を代表する食用貝で、主な産地は東北から北の沿岸部です。世界でも広い地域に分布し、約350種が生息しています。

国内の生産は天然物と養殖物の2種類があります。
天然物の産地は、北海道と青森県、養殖物の産地は、青森県、北海道、宮城県、岩手県になります。(平成28年・収穫量順)

殆どの魚介類は、天然近海物が激減し、採る漁業から育てる漁業へ模索しているところですが、帆立貝はいち早く養殖が成功しました。陸奥湾を中心に養殖が進み、現在では天然物の収穫量を上回っています。

以前は漁獲量が少なく高値で取引されていましたが、養殖法が確立した1970年代以降は流通量が一気に増え、手頃な値段で出回るようになりました。

帆立貝の主な栄養成分

帆立貝は、含有量トップクラスのタウリンとともにセレンが豊富です。たんぱく質も豊富で低カロリーな上、ビタミンEやビタミンB2、B12、葉酸、鉄分、インスリンの材料となる亜鉛、血圧を下げるカリウムを多く含んでいます。

旨味成分のグリシン、アラニン、グルタミン酸、イノシン酸を豊富に含み、甘味成分のグリコーゲンも含まれ、美味しさが凝縮されています。

帆立貝の貝柱は、旨味がたっぷりなうえ、体をうるおす作用があり、口やのどの渇き、ドライアイ、乾燥肌、髪のパサつきなど乾燥による症状を改善します。また、脾と胃を補い、胃腸の働きを整えるので、食欲不振や消化不良、胃もたれにもおすすめです。漢方では、血圧を下げる時に干し貝柱が使われます。

タウリンの効果

帆立貝に含まれるタウリンという成分には、ホメオスタシスという、体の働きを正常に保とうとする働きがあります。血圧が上がりすぎた時は血圧を下げようとする作用が起こりますし、血中コレステロール値が上昇した場合には、タウリンの作用によって徐々に下がっていきます。また胆汁酸の生成を促す働きもあるため、胆汁酸の原料となるコレステロールの消費量を増やし、間接的に血中LDLコレステロールを減少させる作用もあります。
ただ、コレステロールの緩やかな調整作用を持っているだけなので、直接的に悪玉コレステロールを減らす効果のあるEPA・DPAなどと同時に摂取したほうがより良い結果を得ることが出来ます。

上記以外のタウリンの主な効果は、「血糖値を下げる」「血液をサラサラにして血管を広げ、血圧を下げる」「肝臓機能の強化」「脂肪肝の改善」「ダイエット効果」「疲労回復効果」「眼精疲労の回復」「むくみの改善」「動悸、息切れの改善」「不眠症の改善・睡眠の質の向上」「交感神経の抑制」「精神的疲労の回復・ストレスの改善」などがあります。

ガン予防

亜鉛が不足して起こる病気が増加していますが、ガンも亜鉛不足と関係しているという報告があります。貝類に含まれているタウリンや亜鉛には、ガン予防する働きがあると考えられています。

帆立貝のグリコーゲンは、他のグリコーゲンと異なり、ガンの防止と抑制に効果があることが近年報告されています。

セレンの効果

帆立貝の貝柱(生)には、セレンが多く含まれています。セレンはミネラルの一種で、セレニウムとも呼ばれています。抗酸化作用が強く、ビタミンEの約60倍あります。老化予防や動脈硬化予防、ガン予防が期待されます。
ビタミンEには、活性酸素が出来る前に抑えてくれる働きがあり、セレンには、出来てしまった余分な活性酸素を分解してくれる働きがあります。ビタミンCにも活性酸素を除去する働きがあるので、それらを含む食材と一緒に摂ると相乗効果が期待できます。

セレニウムは、自分自身と結合させることにより、水俣病などで問題になった水銀などの人体に有害なミネラルを無害化します。水銀などはいったん体内に取り込まれると排出することが難しいので、セレンの効果は非常に注目されています。

ホタテのお刺身で美肌に!

帆立貝に豊富に含まれるタウリンは、直接的な美肌効果はありませんが、疲労回復やむくみの改善などのさまざまな効果が結果的に美肌効果につながります。

グリシンというアミノ酸は生の帆立貝可食部100g中1700mgと全食材中トップクラスの含有量です。コラーゲンを構成しているアミノ酸の3分の1がグリシンです。グリシンには、「睡眠に対する効果」「抗うつ効果」「美肌効果」があると言われています。

葉酸は100g中87μg含まれています。葉酸の1日の推奨量は成人男女で240μgとされています。葉酸は人の身体の細胞分裂にも関係している大切な働きをしていることから、美しい肌や髪の毛を作る上でとても大切な栄養素です。

亜鉛は100g中2.7mg含まれています。亜鉛の1日の推奨量は、成人男性で10mg、成人女性では8mgとされています。亜鉛を摂取することで、タンパク質の代謝を促し、皮膚や髪のトラブルを改善します。皮膚や髪も新陳代謝が速いペースで行われるため、亜鉛を積極的に摂ることで美肌・美髪効果につながります。クエン酸、ビタミンCが亜鉛の吸収を高めてくれます。

葉酸は熱に弱いので、ホタテを生で食べることで、効率よく上記の栄養の効果を得ることが出来ます。

美味しい帆立貝の選び方

むき身の場合は、厚みがあって表面の色艶が良く、透明感のあるものを選びましょう。パックを傾けたときに、汁が少ないものがいいでしょう。
貝柱は、全体的に盛り上がって透明感のあるものがいいです。

殻付きは、殻の色が濃く筋目がはっきりしているものがいいです。殻が大きすぎるものはかえって身が小さいことがありますので、中くらいのものの方がいいでしょう。
殻が欠けたり壊れたりしていず、しっかりしたものが良品で、やや開き、触った時に強く閉じるものが新鮮です。殻が閉じているものは死んだもので、大きく開いているものは鮮度が落ちています。

養殖ものは餌のプランクトンが含む毒素を内蔵に溜め込むため、貝柱の周囲についている黒い紐状の中腸腺を取り除いて食べるのが無難です。

帆立貝の保存方法

殻付きの帆立貝

殻を取ってから保存します。殻を取らずに保存することも可能ですが、鮮度が落ちるので、極力殻を取ってから保存しましょう。
殻を取ったら塩水でさっと洗い、水気をよく拭き取ります。ラップで包むか、密封袋にいれ、冷蔵庫で保存します。保存期間は2日です。
冷凍する場合は、出来る限り急速冷凍をしてください。凍ったら冷凍庫で保存します。保存期間は約1ヶ月です。

殻付きのままで保存する場合は、まず殻付きの帆立貝を塩水に入れます。
新聞紙を濡らして包み、ポリ袋にいれ、冷蔵庫で保存します。保存期間は2日間です。

刺身用の帆立貝の保存

買ったその日のうちに食べてください。もし残ってしまったら、醤油に漬けるか、さっと茹でて冷蔵庫へ。2日程度は保存できます。
冷凍保存する場合は、さっと下茹でし、水気を充分に拭き取ってからラップで包みます。出来る限り急速冷凍をし、凍ったら冷凍保存します。保存期間は約1ヶ月です。

帆立貝の下ごしらえ

殻付きの帆立貝は、まず殻をたわしでよくこすり、汚れをきれいに洗い流します。
指を挟まれないよう両端を支えて持ち、殻の膨らんでいる方を下に持ち、殻の合わせ目に包丁を差し込みます。
貝殻に沿って左右に動かすと、貝柱がはずれて、貝も開きます。
貝柱をはずすには、殻と身の間に包丁やへら、スプーンを入れて、下側を切り離します。
貝柱と黒い内臓との境に指を入れて貝柱だけをはずします。周りのワタやひもは、別に料理(加熱)するほうがいいでしょう。

生のものを加熱する時は、持ち味の甘さと柔らかさを失わないよう、中心部に透明感が残っている状態で火から下ろしてください。

貝柱の下ごしらえ

生の貝柱は、海水と同じ程度の濃度の塩水でさっと洗った後、ペーパータオルで水分を拭き取ります。
ボイルの帆立は、塩水で洗ったらざるに上げて、水を切るだけでOKです。

冷凍品の扱い方

さっと洗って、ボウルの水に入れて表面の氷を溶かします。帆立の旨味が逃げないように、すぐに水から出し、皿の上で自然解凍します。ビニール袋にいれて流水をかけながら解凍してもOKです。
火を使った料理の場合は凍ったまま調理することも可能です。

解凍できたら洗います。水で洗うと味が落ちるので、海水と同じ程度の濃度の塩水で洗います。ペーパータオルで充分に水気を拭き取ります。塩水で洗うとぬめりも取れます。

帆立貝の調理のポイント

身はすべて食用になるので、柱、ひも、ワタ(肝)を料理に応じて使い分けます。

特に甘みと特有の香りのある貝柱は、刺身、寿司だね、酢の物、サラダといった生食から、殻ごとバター焼き、スープ、クリーム煮、グラタン、コキール、グリル、ムニエル、ワイン蒸し、フライ、すり身にしてテリーヌやムースなど、和洋中を問わず、幅広く使われています。

ひも(外套膜)は寿司だねや和えもの、つくだ煮、みそ汁の実などにし、ワタは貝柱やひもと一緒に煮物や焼き物にします。

中国料理では干し貝柱を多く使います。干し貝柱は生より遥かに旨味成分が多く、良いダシがとれます。