マダコの旬

マダコの旬は10月から12月です

旬は、「麦わらダコ」と呼ばれる前年の秋に生まれたものを食す6~7月と、10~12月です。

日本人は世界一のタコ好き

世界の海洋には、200~250種のタコ類が分布していて、日本近海には約60種が生息しています。その中で、食用とされているのはわずかに5種類です。日本で食用のタコとしてもっとも馴染みの深いのは「マダコ」です。マダコは、本州中部以南の暖かい海に分布する、世界で一番おいしいタコです。
日本では、タコは有史以前から食べられていたといわれています。弥生時代の遺跡からも、タコ漁のためのタコ壺が発見されています。また、平安時代の『延喜式』にも、乾蛸の記録があります。
日本でのタコの消費量は約16万トン。全世界の漁獲量の約3分の2にも達します。日本人は、世界一タコ好きな国民なのです。

マダコは賢い

マダコは、無脊椎動物の中でもっとも知能が高いと考えられています。
敵を避けたり妨害したりするための、多彩なテクニックをもっています。
まずは擬態。皮膚の色素細胞と特殊な筋肉を使って、瞬く間に色や模様、質感までをも周囲の環境に合わせてしまいます。これでサメやイルカなどの目を欺きます。
また、敵に見つかるとスミを吐いて目をくらませ、その間に逃げます。スミには嗅覚を鈍らせる物質が含まれていて、敵はマダコを追いかけることができなくなります。
さらに、敵に捕えられたとき、自ら腕を切断して逃げることもあります。この腕は再生して傷は残らないそうです。
マダコにはクチバシのような形をした口があり、獲物にかみ付いたときに毒を含む唾液を注入して、獲物を麻痺させます。

明石タコの危機

明石海峡で水揚げされるマダコを、「明石タコ」と呼びます。潮の流れが速い海底を生息地とする明石タコは、太くがっしりとした脚が特徴で、引き締まった身は歯応えも抜群。また、タコがエサとするエビやカニが豊富なため、甘みが強いといわれています。
この明石タコが、一時、絶滅の危機に瀕したのです。「サンパチの大冷害」と呼ばれる昭和38年、水温4℃というかつてない低温になったため、ほとんどが死滅してしまったのです。この窮地を脱するため、熊本・天草からメスマダコを4千尾あまり購入し、放流しました。これによって、明石タコは見事によみがえりました。
とはいえ、現在、マダコの国産は1割ほど。主にモーリタニアやモロッコなど、アフリカ地方からの輸入に頼っているのが現実です。

珍味「海藤花(かいとうげ)」

マダコの繁殖期は春から初夏で、交尾したメスは岩陰に潜み、長径2.5mmほどの楕円形の卵を数万~十数万個産みます。卵は房状に固まっていて、フジの花のように見えることから、「海藤花(かいとうげ)」と呼ばれています。
メスは孵化するまで餌を摂らずに卵の下に留まり、海水を吹きつけたり、卵を狙う魚などを追い払ったりして卵の世話をします。卵は1か月ほどで孵化し、メスは孵化を見届けた直後にほとんど死んでしまいます。
マダコの卵「海藤花」は、素干しや塩水漬けとして市場に出回っています。お吸い物や酢の物にして食すと、シャリシャリとした独特の歯触りが楽しめます。

マダコの主な栄養成分

ビタミンB2がたっぷり

脂質や糖質の代謝にすぐれたビタミンB2が、他の魚の2~5倍とたいへん多く含まれています。ビタミンB2は、粘膜や皮膚、髪を保護するとともに、細胞の再生をサポートします。加熱によって損なわれてしまいますので、刺身でいただきましょう。

良質なタンパク質

脂肪分が少なく、高タンパク質低カロリーのヘルシー食材です。

亜鉛の補給に

マダコには、ビタミンAの吸収を促す亜鉛が多く含まれています。亜鉛には、細胞を新しくする働きがあり、タンパク質の合成や骨の発育を促します。成長期の子どもには欠かせない栄養素です。

タウリンが豊富

マダコには、100gあたり約410mgのタウリンが含まれています。これはアジの5倍、カツオの7
で、魚介類の中でもトップクラス。タウリンは、血液中のコレステロールを下げ、血圧を下げる作用もあり、動脈硬化や脳卒中、心疾患等の血管障害を予防する働きがあります。また、肝機能を高め、アルコールの分解を助けます。疲労回復にも有効であることが知られています。

おいしいマダコの選び方

生のものは、こげ茶色が濃いほど新鮮で、吸盤に強い吸着力があるものを選びます。
煮タコや茹でタコは、足の先までしっかり巻いてあるもの、吸盤が小さく大きさのそろったもの、皮がむけていないものがよいでしょう。吸盤の間隔と大きさが不ぞろいなものは「乱れダコ」といって、煮てもゆでても身が硬いものが多いといわれています。
また、タコの刺身は色をよくする添化物が使われていることがあります。表示をよくチェックしましょう。
タコは鮮度が落ちやすいので、できるだけ手に入れた当日か、遅くとも翌日までには食べきりましょう。

マダコの下ごしらえ&保存のポイント

冷凍する際は、塩もみしてぬめりを取り、冷凍保存用袋に入れて冷凍保存します。(保存期間:1か月)

マダコの調理のポイント

タコの旨み成分は加熱することで強くなりますので、茹でタコを刺身で食べるときも、軽く湯通しした方が旨みが強くなります。
炒め物にする場合は、火を通しすぎるとかたくなるので気をつけましょう。
タコは、火をじっくり通すと再びやわらかくなる特徴がありますので、煮込み料理もおススメです。トマトとの相性がとてもよいので、洋風のトマト煮にすると、冷たくても温かくてもおいしくいただけます。