パイナップル(パインアップル)の旬

国産パイナップルの旬は、6〜8月頃です

パイナップルは通年、安定して輸入されているので、年中市場に出回っています。
日本では沖縄県で生産されており、石垣島で4月下旬から7月下旬、沖縄本島で5月中旬から8月初旬頃が収穫時期となります。最も甘みが増す旬は、6〜8月頃にかけて出回る露地栽培物になります。

パイナップルの概要

パイナップルは、熱帯アメリカやブラジルが原産といわれるパイナップル科アナナス属の果物で、木に実がなるのではなく、茎の頂部に実をつける多年草です。亜熱帯から熱帯地方で育ちます。

和名「鳳梨(ほうり)」、学名は「Ananas comosus(アナナス コモスス)」といいます。Ananasは、「亀」という意味で、果実が亀の甲羅のように見えることに由来しているようです。
「pineapple(パイナップル/パインアップル)」という英名は、「pine(松)」と「apple(りんご・果実)」の合成語で、その外観が松ぼっくり(松かさ)に似ていて、味はりんごのような甘酸っぱい、というところから名付けられました。単に「パイン」と略して呼ばれることもあります。

パイナップルの歴史

パイナップルは1000年以上前から、ブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイにかけた地域で栽培されていました。
1493年にコロンブスの第2次探検隊が、カリブ海の西インド諸島で発見されたと言われています。1502年、ポルトガルジンがヨーロッパのセントヘレナ島へ持ち込んだのが始まりで、アメリカ、インドなど全世界の亜熱帯へ広がりました。

日本には江戸時代末期の1845年にオランダ船によって長崎に持ち込まれたと言われています。沖縄県で台湾から缶詰品種として重要なスムース・カイエン品種が導入され、本格的な栽培が始まったのは1930年頃になります。

日本流通しているパイナップルの産地

現在日本流通している生鮮パイナップルの90%以上は輸入品です。約14万トン輸入されています。そのうち約99%がフィリピンからの輸入で、残りが、コスタリカ、台湾、インドネシア、マレーシアなどです。(平成28年)
フィリピンは生育に適した機構であることや、日本から比較的近距離であること、また果物を取り扱う大手の会社が経営する大規模農園があることから、質の良い商品を安定して供給出来ることが理由とされています。

国内では沖縄県が約7500トン出荷しており(平成27年)、生産量は極めて少ないです。

パイナップルの種類

パイナップルには100以上の品種があり、カイエン群、クイーン群、レッドスパニッシュ群、ブランコ群、アマレロ群、メイピュア群に分類されます。
一番市場へ流通している品種は、カイエン群のスムースカイエン種とよばれるもので、汁が多く、黄金色した果肉を持っています。トゲが葉に見られず、甘みが強い品種で、世界中で栽培されています。
沖縄で栽培されているパイナップルは、スムースカイエン種を品種改良したものになります。

沖縄産で人気のあるのは、「スナックパイン」と「ピーチパイン」です。
「スナックパイン(ボゴールパイン)」は、台湾が原酒の品種です。国産のものは4〜8月にかけて出回ります。小型のパイナップルで、黄色い果肉で甘みと酸味のバランスが良く、さわやかな味わいです。おしりの部分を切り落としたら、果肉の節を引っ張るようにして、ちぎって食べます。手でちぎってスナック菓子のように手軽に食べられることから「スナックパイン」と呼ばれています。

「ピーチパイン(ソフトタッチ)」も小型のパイナップルで、その名の通り、白い果肉とピンク色の果皮、桃のような甘い香りが特徴です。「ミルクパイン」とも呼ばれています。酸味が少なく、濃厚な甘みが楽しめます。3〜6月にかけて出回ります。

その他、台湾産完熟パイン(台湾17号)や、デルモンテが開発した「ゴールデンパイン」、ドールが開発した「スウィーティオ」という品種もあります。

酢豚にパイナップル

賛否両論ある「酢豚のパイナップル」は、もともと清の時代、欧米人相手に高級感のある料理を出すために、当時高級食材だったパイナップルを使った、というのが由来と言われています。

酢豚特有の甘酸っぱさと、さっぱり感を出すために適しているのがパイナップルですが、一般的には「パイナップルを入れたら肉が柔らかくなるから」という理由だと思う方が多いのではないでしょうか。これは正解でもあり、間違いでもあります。

パイナップルには、プロメリン(Bromelain)と呼ばれる酵素が多く含まれています。このプロメリンには、お肉を柔らかくする働きがあるので、酢豚の肉を柔らかくするために使われている、という説が広まったのだと思います。
しかし、ブロメリンは60度以上に加熱してしまうと、その効力は失われてしまいます。その為、肉を柔らかくするためにパイナップルを使うのであれば、
・下ごしらえの段階で、パイナップルの生果汁に肉を漬け込む
・酢豚完成後(鍋やフライパンから下ろした後)に混ぜる
など調理法に気をつける必要があります。

パイナップルを食べると出血!?

パイナップルを食べていると、舌がピリピリしてきたり口内がイガイガした経験はありませんか?
これらは、パイナップルに含まれている、「ブロメリン」と「シュウ酸カルシウム」によるものです。
「ブロメリン」はタンパク質分解酵素なので、口内の粘膜を分解してしまいます。そこへ針状結晶の「シュウ酸カルシウム」が攻撃をしてしまうのです。この作用により、食べ過ぎると口内が荒れたり、出血にまでいたることもあります。
シュウ酸カルシウムは、未熟な果実に多く含まれていますので、なるべく完熟の物を選んでください。

ただし、ブロメリンは60度以上に加熱するとその効力を失います。その為、高温処理されている缶詰のパイナップルであれば刺激を感じずに食べることが出来ます。

パイナップルの主な栄養成分

パイナップルは糖分(ショ糖)が約10%と多く、ビタミンB1、Cや食物繊維、クエン酸やカリウム、タンパク質分解酵素のブロメリン(ブロメライン)を多く含んでいます。

タンパク質分解酵素のブロメリンの働き

生のパイナップルにはブロメリン(ブロメライン)というタンパク質分解酵素が多量に含まれています。
ブロメリンは肉をやわらかくする働きがあり、消化酵素の仲間となります。消化を促してタンパク質や老廃物を分解し、胃腸へかかる負荷を緩和するとされます。腸内の腐敗物を分解する作用があり、下痢や消化不良、腹部膨満感(ガス溜まり)、便の悪臭などの改善など、腸内環境を調節する作用があると言われています。

さらに、ブロメリンは肺、気管支の痰を分解し、出しやすくするので、風邪や気管支炎の時に食べると効果的です。

腸内環境を整える効果

食物繊維を多く含んでいるので、便秘の予防解消になり、腸を綺麗にします。
ブロメリンにも腸内環境を整える作用があり、炎症を鎮めたり、有害物質を分解し、ガスの発生を改善する効果があります。

疲労回復や食欲増進効果

パイナップルには、クエン酸やリンゴ酸が豊富に含まれています。
酸味のもとであるクエン酸には、疲労物質を分解し、筋肉への蓄積を防止する効果があります。ビタミンB1とともにエネルギー代謝を促進し、疲労回復に力を発揮します。リンゴ酸はクエン酸よりも甘みが強く、クエン酸を助けて新陳代謝を活発にします。
またリンゴ酸は熱に強いので、パイナップルに加熱調理をすると、甘みが増します。味に深みをもたせ、食欲を増進させるので、夏など食欲が落ちる時期にお薦めです。

ダイエット効果

パイナップルは100gあたり51kcalと低カロリーであり、さらに抗酸化成分が豊富に含まれています。
ブロメリンという消化酵素の働きにより、基礎代謝が上がり、筋肉量が増えます。夕飯で食すことの多い肉料理などは、消化に時間がかかる上に、完全に消化しないうちに眠りにつくと、皮下脂肪として蓄積されやすいのですが、ブロメリンを摂取することにより、胃もたれを防ぎ、消化を促進させます。
さらに食物繊維とともに、腸内環境を整える効果があるので、デトックスや美肌効果も期待できます。
その為、生のパイナップルは、ダイエット食としてとても優秀です。

おいしいパイナップルの選び方

パイナップルは追熟しない果物です。買う時点でしっかりと熟したものを見つけましょう。

表面のデコボコの溝が深いものが良品です。
葉が濃い緑色で、実の下の方がふくれている下ぶくれのものがおいしいです。手に持った時にずっしりと重みがあって、香りのいいものがいいでしょう。葉の部分が枯れているようなものは避けて下さい。
お尻の部分も確認し、カビが生え始めていないかをチェックしてください。カビがない場合は、触ってみて柔らかすぎないものを選んで下さい。

パイナップルは廃棄率(食べられない部分)が平均45%と高く、カットするのが面倒だったり、生ゴミが多く出るので、家庭では丸ごと1個を買うことは少なくなっていると思います。
カットしてあるものを購入する場合は、黄色が濃く、つやつやと輝いていて、果汁がにじんでいないものを選びましょう。

パイナップルの保存のポイント

パイナップルは追熟しない果物なので、常温で保存しても甘みは増えず、逆に痛みやすくなります。
時間とともに黄色くなるので、熟すように見えますが、酸味が和らぐだけで糖度があがるわけではありません。
買ってきたら冷蔵庫にいれて、できるだけ早めに食べきりましょう。

パイナップルは果実の下のほうが甘みが強いので、均一にするため、葉の部分を下にして保存します。
新聞紙などにくるんで冷暗所か冷蔵庫の野菜室にいれておけば、2〜3日は持ちます。

一度包丁で切ったものはラップでぴったりと包んで冷蔵庫に入れて下さい。
冷凍する場合は、皮を全て切り落とし、一口サイズにカットしたものをラップを引いたトレイに間隔をあけて並べ冷凍し、凍ってから密封袋などに詰めて冷凍保存します。

パイナップルの切り方

パイナップルが丸ごと1個手に入っても、切り方に悩んでしまうこと、ありませんか?

① 頭(葉)の部分とお尻の部分を切り落とします。
② お尻の切り口を下にして縦に置き、半分に切ります。
③ 半分に切ったものをさらに半分に、そしてさらに半分に。1/8サイズにカットします。
④ ③で切った細長いパイナップルを縦に置き、固い芯の部分を切り落とします。
⑤ 芯とは反対側の皮と果肉の間にナイフを入れ、皮をそぐようにして切り落とします。
⑥ ⑤をひと口サイズに切って食べましょう。

パイナップルのおいしい食べ方

生パイナップルとして

生のパイナップルは、加工品に比べて香りが強く、食感が良くて、栄養成分が充実しています。その為、そのまま生で食したり、デザート類(ゼリー・ケーキ・シャーベットなど)によく利用されています。

ただしゼリーを作る場合には、パイナップルに含まれるタンパク質分解酵素のブロメリンが、タンパク質の一種であるゼラチンを分解してしまうため、生の状態のパイナップルを入れたゼラチンのゼリーを作ることが出来ません。
ゼラチンを使うのであれば、パイナップルを熱処理する必要があります。
ゼラチンの代わりとして、寒天を用いることが出来ます。寒天の主成分は多糖類なので、ブロメリンの影響を受けません。

料理に用いる

酢豚にパイナップルを使うのは有名ですね。肉料理の付け合せやソース等に用いると、甘みと酸味で料理の味が深まり、パイナップルの色彩と香りが料理だけでなく食事全体を華やかにします。
肉を柔らかくする特徴を活かして、豚肉料理などによく使用されます。

果汁を酢の物に使うと、通常の酢と比べ、華やかでさっぱりした香りとともに、ビタミンやミネラルも摂取することが出来ます。

タイやベトナム料理には、パイナップルチャーハンというものもあります。東南アジアでは、料理に使うことも多いです。いつものカレーやシチューの仕上げにパイナップル(生でも缶詰でも)を加え、軽くパイナップルがあたたまる程度に煮てみて下さい。

缶詰

缶詰は、味や価格が安定し、長期保存が出来、料理の手間が省けて、生ゴミがでないという利点があります。
加熱処理がされているので、タンパク質分解酵素の機能は失効し、ビタミンCは1/7くらいまで減少しています。
シロップが加えられているので、本来の味とは異なり甘みが強いのが特徴です。デザートやサラダ等、気軽に使うことが出来ます。