鰻(ウナギ)の旬

天然物のうなぎの旬は10~12月です

夏の土用の丑の日や夏バテ防止に食べるイメージのあるうなぎは、夏が旬だと思われがちですが、天然のうなぎは、冬眠にそなえ養分を蓄える晩秋から初冬にかけてが、身に脂の乗った一番美味しい時期になります。

ですが、今現在市場に出回っているうなぎのほとんどは養殖物です。管理された環境で養殖されているうなぎに旬は無く、安定した品質で年間を通して美味しくいただくことができます。

ウナギと土用の丑の日

「土用は各季節にあります。立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用といいます。なので、夏の土用は立秋前の18日間。この期間を暑中と呼び、暑中見舞いを出す時期でもあります。この夏の土用の中で「丑の日にあたる日を「夏の土用の丑の日」というわけです。

さて、時は江戸中期、「毎日こう暑くっちゃあ、ウナギが売れねぇ、困ったもんです」と知人の鰻屋に相談された平賀源内(本草学者、蘭学者、医者)は、宣伝文句を考えます。「本日、土用丑の日」の張り紙を出させ、「夏にウナギを食べると、夏バテしないんですよ」なんて知識を披露したのか、宣伝文句は大ヒット。以来、夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣が、普及したといわれています。

関東と関西で違う調理法

関東と関西、ウナギの蒲焼は「さばき方」と「焼き方」が違います。関東では背開きにして白焼きした後、蒸して再び焼くためふわっとした食感になります。一方、関西では腹から開いて蒸さずに焼くため、脂ののったパリッとした香ばしさが楽しめます。

この違い、武士が多かった関東では、腹を割くのは「切腹」に通じ、縁起が悪いとされて背から割くようになったといわれています。

世界のウナギ料理

ヨーロッパにもウナギ食文化があります。古代ローマ人の好物でもあったようで、背開きにして魚醤とハチミツを混ぜたタレを塗り、パピルスや羽うちわであおぎながら炭で焼き、胡椒をかけて食べていました。医師ヒポクラテスは、「ウナギの食べ過ぎなどによる肥満は人間の体の最大の敵」と著述しています。

イギリス南部の郷土料理には、パイ生地にぶつ切りにしたウナギを入れて焼き上げるウナギパイがあります。マッシュポテトを添え、リカーと呼ばれる緑色のソースをかけ回した一皿、パイ・アンド・マッシュが、フィッシュ・アンド・チップスと並ぶロンドン庶民の味として親しまれてきました。ぶつ切りにしたウナギをスープストックで煮込み、ゼラチンで冷やし固めたウナギのゼリー寄せは、南欧を中心にポピュラーな料理です。

スペインでは、ウナギの稚魚であるシラスウナギを食する習慣があります。代表的なのは、シラスウナギをオリーブオイルとにんにくで煮込むもので、最高に美味なタパです。

期待される完全養殖

ウナギ資源は1970年代から減少を続けていて、消費の99%以上を占める養殖ウナギに用いられるシラスウナギの日本国内での漁獲量は、ピーク時には200トンを超えていましたが、2013年には5.2トンにまで落ち込んでいます。2013年2月にはニホンウナギが環境省レッドリストに、2014年6月にはIUCNレッドリストに絶滅危惧種として選定されました。

そんな中、2010年、水産総合研究センターが人工孵化したウナギを親ウナギに成長させ、さらに次の世代の稚魚を誕生させるという完全養殖に、世界で初めて成功したと発表しました。水産庁は、完全養殖の商業化の目標年を2020年としています。

ウナギの主な栄養成分

ウナギは、滋養強壮の代表的な食品。身体の抵抗力を高めるビタミンAやビタミンAの吸収を高める脂質のほか、ビタミンB1、B2、E、D、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などをバランスよく含んでいます。

免疫力アップにビタミンD

ビタミンDは食物で摂る以外に、太陽光を浴びることで皮膚で生成されます。カルシウムの吸収には不可欠で、骨の健康を保つのに働いています。免疫力アップにも有効とされ、日中の殆どを室内で過ごしたり、美白のために紫外線を避けている人、風邪を引きやすい人などにお勧めです。

豊富に含まれるレチノール(ビタミンA)

レチノール(ビタミンA)は脂溶性ビタミンの1つで、免疫力の向上、目や皮膚・粘膜の健康維持、感染症予防の作用があります。1日に必要とする摂取量をうなぎの蒲焼き1人前で補うことが出来ます。

生活習慣病の予防に

青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は人間に必要な必須脂肪酸で、血液中の中性脂肪を減らしたり、肥満予防や血液をさらさらにして動脈硬化を防ぐ効果などがあります。うなぎの蒲焼き1人前で1日の推奨量を補うことが出来ます。

おいしいウナギの選び方

蒲焼き

長くなく幅広で身が厚く、ふっくらとしたものを選びましょう。さらに表面の起伏がはっきりしているものがよいでしょう。頭に近いほうの内臓があった部分の身が皮側に反り返っているものは、身がかたい場合があります。

白焼き

見た目が白いものより、黄色みがかったものを選びましょう。黄色みがかっているものは、よく焼かれている証拠です。蒲焼き同様、身が厚くてふっくらとしたものがよいでしょう。

調理済みウナギの保存のポイント

冷蔵保存する場合は、3日程度を目安にしてください。
におい移りや乾燥を防ぐため、保存袋に入れて、しっかりと空気を抜いた状態で冷蔵庫(出来ればチルド室)で保存します。

長期保存する場合には、1枚ずつきっちりとラップで包み、さらに冷凍保存袋に入れ、しっかりと空気を抜いた状態で、冷凍庫で保存します。この場合の保存期間は約1ヶ月です。

食べるときには、電子レンジやフライパンで温めたあと、お酒をふりかけて軽く焼き上げることで、ふっくらとした食感になります。