「ミュラー・トゥルガウ」~チェコ・スロバキアのブドウ

チェコ・スロバキアのワインは、日本ではそれほどメジャーではありません。
しかしなかなか面白いワインもそろっており、フランスやドイツ、オーストリアとはまた異なった風味が楽しめます。
今回はそのなかから、「ミュラー・トゥルガウ」を使ったワインについて見ていきましょう。

ミュラー・トゥルガウってどんなブドウなの?

ミュラー・トゥルガウは、ドイツで生まれたブドウ品種です。ただ、これを作り上げたのは、スイス人の学者(植物学者)でした。彼の名前である「ヘルマン=ミュラー」と、彼の出身地である「トゥルガウ州」から、この名前が付けられたと考えられています。

リースリングと、シャスラ・ド・クリティリエール(スイスに育つブドウのなかでも特に有名な品種。スイスのブドウのうちの4分の1は、この「シャスラ種」によるもの)を親に持つブドウであり、交配してつくられるブドウのなかでも特に長い歴史を持っています。

ミュラー・トゥルガウは、オーストリアやドイツを中心として世界各国に羽ばたいていったワインです。しかし現在では、オーストリアではこのミュラー・トゥルガウの生産量が非常に減っています。

とても成熟が早いブドウとして知られており、「シュトゥルム」という状態で飲まれることもあります。シュトゥルム、という単語は、日本人にとってはそれほど聞きなじみのないものでしょう。これは日本語に訳すとなると、「まだ若く、発行の途中の段階のワイン」ということになるでしょう。

ワインは、条件さえきちんと整えるのであれば、長く保存できるお酒の代表格とも言えます。しかしシュトゥルムの場合、その方向性がまったく異なります。これは、まだ発酵が浅いときに飲むやり方のことを指します。発酵が終わっていない状態で飲むこの若々しいワインは、ブドウ本来の持つ甘味も残っており、「ワイン」という言葉からイメージする味とは異なった風味を持つこともあります。

ミュラー・トゥルガウの味と方向性、合わせ方について

では、チェコ・スロバキア生まれのミュラー・トゥルガウのワインはどのような特徴を持つのでしょうか。
もちろんワインによってその味わいは異なりますが、かなり強い果物の香りをまといます。さわやかな香りは心と胸をすがすがしくさせ、食事への期待を高める役割を果たすことでしょう。

香りの方向性は、「果物香」。青りんごやアンズにも似た香りと、それにふさわしい酸味を持つのが特徴です。まだ若いワイン(1年前のものなど)は、「若々しさ」を強く感じ、甘味も持っています。ただ、キレはよいので、それを以って「辛口のワインである」と評する人もいます。
一般的に夏向きのワインであると考えた方がよく、よく冷やして飲むことを強くおすすめします。

物によりますが、チーズとの合わせ方には注意が必要です。
特に、ウォッシュチーズやハードチーズと合わせることがやや難しく、苦戦するかもしれません。ただ、ブルーチーズとは比較的相性がよいので、試しに組み合わせてみるとよいでしょう。

ミュラー・トゥルガウは果物の香りを色濃くまとうものですが、意外なほど、かんきつ類を使った料理とマッチします。オレンジとレタスのサラダなどは、果物の香り同士がけんかすることなく、よく調和します。また、意外なところでは、魚をオリーブオイルで仕立てたものとも相性がよいと言えます。魚を、低温のオリーブオイルでじっくり時間をかけて揚げていった料理と一緒に楽しみましょう。