「シラーズ」オーストラリアでつくられているブドウ

数多くのワイナリーを持つオーストラリア。
そのオーストラリアで、赤ワインの品種としてもっとも多く栽培されているのが「シラーズ」です。
少し複雑な意味を持つ、この「シラーズ」について見ていきましょう。

シラーズ? それともシラー?

「シラーズ」という品種について語るとき、そこには必ず「シラー」という単語がまとわりついてきます。

シラーズは「Shiraz」、シラーは「Syrah」と表記します。このような表記上の違いがあるからか、この2つを「まったく違うものだ」と考えてしまう人もいるでしょう。
しかしこの2つは、実は同じ品種、同じブドウを表す単語なのです。

「シラー」という表記が使われるのは、オーストラリア以外の国です。「シラーズ」という表記は原則としてオーストラリアで用いられる言い方です。国際種であるこのブドウは、このように、国によって言い方が異なるわけです。

ただ、この2つは、「違う名前であるのに同じ品種」であるのと同時に、「同じ品種であるのに、味がまったく異なる」という奇妙な特徴を持ち得ます。

「シラー」と呼ばれる方、つまりオーストラリア以外で作られているものは、かなり強い渋みを持ち得ます。人によって感じ方は異なりますし、ワインによっても違いはありますが、「シラーはもっとも渋みの強い赤ワインのブドウ品種だ」と評する人もいます。

対して、オーストラリアの場合というと、これは「シラー」に比べてタンニンが極端に少なく、あまり渋みを持ちえません。

とても面白い体験として、1つ紹介しておきたいのが、オーストラリアのワイナリーにいったときのことです。
ついつい習慣で「シラー」と言ってしまったところ、ワイナリーのスタッフに「違う、シラーズよ」と言いなおされたのです。

このように、同じブドウ品種であっても、呼び名も味もまったく違うのです。また、オーストラリアでは明確にこの2つは差別化されて論じられます。
このように、シラーズは、非常に特徴的で特異な性質を持っています。

オーストラリアのシラーズを使ったワインの特徴

上でも触れましたが、オーストラリアのシラーズは、それほど強い苦味を持ちえません。しかしまろやかで柔らかい渋みはそれなりに感じられます。
ベリーのような甘い香りと、程よいキレを持つ辛さも持ち合わせています。全体的に、日本で飲むオーストラリアのシラーズは、値段の割に品詞がよい可能性が高く、かなりコストパフォーマンスのよいワインと言えるでしょう。

はっきりとしたオークの香りをまとうのも特徴です。感じ方はひとそれぞれですが、ジェイコブズ・クリーク・シラーズ・カベルネにしろ、マクウィリアムズ シラーズにしろ、ワインに詳しくはない人でも、タルの香りをたしかに感じることでしょう。

非常にバランスのとれた味わいを持ち、飲みにくくもなく、使いやすいワインです。

また、オーストラリアのシラーズは、チーズと非常によくマッチするという特長があります。
かなり個性的なチーズ(ヴァランセなど)も合いますし、非常に強い青カビを持つケソ・デ・バルデオンなどをしっかりと受け止めることもできます。ボン・レベック・レ・クリュなどのウォッシュチーズとも極めて相性がよいのがうれしいポイントです。
「クセの強すぎるチーズを買ってしまった」「どんなワインでも負けてしまいそう」という場合でも、オーストラリアのシラーズならばしっかりと受け止めてくれるでしょう。料理とも非常に相性がよいのですが、チーズのみをおつまみにこのワインを傾けるのも、決して悪くありません。