飲食店でアペリティフ

アペリティフ(Aperitif)とは、食前酒という意味のフランス語である。19世紀ごろのフランスで、食欲を増進させたり、出席者の会話を弾ませるたりするために飲む酒を意味している。
現代のアペリティフといえば、アミューズ・ブーシュといわれるオリーブや生ハム、パテとクラッカーなど1口で食べられるような簡単なおつまみと一緒にシャンパンやカクテルなど少量のお酒を食事の前に飲むというのが一般的である。

ちなみに食後酒はフランス語で、ディジェスティフ(digestif)。食後の疲れた胃に強いアルコールで刺激を与え、消化を促進させる意味があります。食前酒とは対称的に、アルコール度数の高いものや満足感を得るための甘めのものが向いています。

アペリティフの定番の飲み物といえばやはりシャンパンだ。アルコール度数が低く、炭酸が入っているため、食欲を増進させ会話を弾ませる効果がある。欧米ではかなり強めのお酒も好まれるようだが、日本では、シャンパンのような「低アルコール」「発泡性のもの」「甘すぎない、すっきりした味わいのもの」が食前酒として提供されていることが多い。欧米人に比べて胃腸が弱い日本人には、空きっ腹に強いお酒はキツく、酒が回って食が進まなくなったり、胃を痛めてしまう。

胃に適度な刺激を与えるような軽くて飲みやすいアルコールとしては、シャンパン、ビール、ワインなどがオススメ。カクテルで言うと、キールやキールロワイヤル、モヒート、それ以外にも炭酸水を使ったノンアルコールのアペリティフカクテルなど、バリエーションはさまざまだ。一般的に、ドライで辛口なものをあわせることが多い。あまり甘口だと食欲がそがれてしまう。

フランスでは、アペリティフはライフスタイルのひとつで、好きな飲み物とおつまみで過ごすリラックスしたひと時のこと。食事の前に限った習慣ではないという。親しい家族や友人同士が楽しむのはもちろんながら、「食事というよりは軽く飲みながら互いの距離を縮めたい」という場合のコミュニケーションの方法としても使われたり、仕事帰りのカフェや家での食事、あるいは休日の公園で、それぞれ自分のスタイルに合わせて楽しんでいる。

そんな食文化を普及させようとフランス政府は2004年に、毎年6月の第1木曜日を「アペリティフの日」と定め、国外への普及を図っている。日本でも同年から、このアピリティフを楽しむ習慣を紹介する「アペリティフ 365」というイベントが、フランス政府の主導により、日本各地で開かれている。合言葉は「アペしない?」。
「アペリティフ 365」は、6月第1木曜日だけでなく1年365日楽しむ習慣の定着化を目指し開催されているが、この定義は自分の店でも大いに活用できるだろう。
「アペしない?」=「お茶しない?」といった感覚で、食事前の時間帯で限定メニューを提供したり、「プレミアムフライデー」などと結びつけてみるのもいいだろう。働きすぎの日本人に、何かしら理由をつけてリラックスする時間を提供するのも、飲食店の役割なのかもしれない。