飲食店でジビエ

ジビエとは、狩猟によって、食材として捕獲される野生の禽獣や、その肉のことをいう。ジビエはフランス語(gibier)であり、英語圏ではゲーム(game)やゲームミートと呼ばれる。「game」には狩猟の獲物という意味がある。

ヨーロッパでは、貴族の伝統料理として古くから親しまれた食文化である。
その昔フランスなどでは、ジビエを使った料理は自分の領地で狩猟ができるような、上流階級の貴族の口にしか入らない貴重なものであった。そのため、フランス料理界では古くから高級食材として重宝され、高貴で特別な料理として受け継がれている。

日本で有名なジビエといえば、捕獲数や被害の多い鹿・猪が挙げられ、イノシシ肉のぼたん鍋などが食べられてきた。が、実は狩猟の対象となっている野生鳥獣は全てジビエとして定義されている。鹿や猪の他にも、野うさぎや山鳩、カルガモ、キジ、それにカラスやアナグマ、ハクビシンなども含まれている。

日本でも近年注目が集まっており、国も「ジビエには非常に大きな可能性がある」として力を入れ始め、外食や学校給食、ペットフード等でジビエの積極利用に取り組む考えを示している。
この背景にあるのは、農作物だけで年200億円近くものぼる鳥獣害の深刻さだ。農作物を荒らす動物を駆除し、その肉を利用することで、被害額を減らし農村の所得も向上できるとして、地方の各自治体も積極的に料理に活用し消費を拡大していこうという取り組んでいる。

しかしジビエは、捕獲から肉にするまで、家畜のような明確なルールが確立されておらず、また、生または加熱不十分な野生肉を食べると、E型肝炎ウイルス・腸管出血性大腸菌または寄生虫による食中毒のリスクがある。このあたりは厚生労働省からもガイドラインが出されている。
そのため、より安全に飲食店で提供するためには、ジビエの入手から、メニューとして提供するまでに、考慮する点が少なくない。

日本では11月15日〜2月15日まで狩猟が解禁となり、野生の鳥獣は冬に備えて体に栄養を蓄えるため、秋はジビエの旬の時期になる。

全国でも各地でジビエ料理を提供する飲食店も増え始めている。高知県で行われた観光客に薦めたい飲食店を県民が選ぶ「高知家の食卓 県民総選挙2016」というイベントでは、総合1位にジビエ料理専門店が選ばれているように「ジビエ料理」を受け入れ楽しむ基盤は既に出来ているようだ。

完全自然食品であるジビエは畜産食肉と比べてヘルシーで、力強い味わいを持っている。個体差によって臭味が強い場合もあるが、ジビエ料理の楽しさは、下処理・香辛料の使い方・ソースの工夫・火加減・お酒の選択(マリアージュ)などで臭味を野性味に昇華させることであり、レシピをジビエに合わせて考え出す創意工夫にある。

シカ肉やイノシシ肉は、高タンパクで低脂肪であり、美容にいい栄養成分が入っていたり、ワインや、意外なところでショコラとも相性が良く、女性ウケやSNS向けにもいい食材であるので、季節メニューや限定メニューとしてでも、ぜひ提供したいところだ。